中国でミニプログラム急増 顧客体験が変化
アフターデジタルと呼ばれるような時代となり、日本でも多くの企業がOMOの実現に取り組む中、企業独自のアプリ(ネイティブアプリ)はその中核を担う存在だ。一方、海外市場を見てみると一足早くキャッシュレス化が進む中国で「ミニプログラム/ミニアプリ」が急増している。
ミニプログラムは、2017年1月、中国のテンセントがコミュニケーションアプリ「WeChat」に搭載した機能を発端としたアプリケーションの一種。WeChatなどが提供するプラットフォームを利用することで、インストールの手間なくすぐに起動できる「アプリ内で動く小さなアプリ」だ。翌2018年には、アリペイ、百度(バイドゥ)なども展開し、その後市場規模は大きく広がっている(関連記事はこちら)。
当然これによって中国の顧客体験も大きく変化している。WeChatの例で言えば、店頭にあるQRコードをWeChatアプリからスキャンするだけでミニプログラムを起動でき、会員登録もWeChatの会員情報を引用できるため、ワンタップで完了。また、決済情報もWeChat内にあるため、店頭の支払いもミニプログラム上だけで完結するという手軽さだ。
日本では、2020年7月にLINEが「LINEミニアプリ」の展開を本格的に開始した。そこで今回は、同社B2B新規事業開発チームの谷口氏と武藤氏に、日本においてミニアプリがもたらす顧客体験の革新について聞いた。
店舗利用を「継続的なつながり」のチャンスに
――現在、コロナ禍の影響により、日本でも顧客体験の革新が求められています。特に実店舗を持つ企業では、3密を避けた店舗運営が必須となり、以前のような顧客とのコミュニケーションは困難になっています。これらの企業のマーケティングにおいて、どのような課題があるとお考えでしょうか。
武藤:そもそもコロナ以前から、アフターデジタルやOMOという考え方、それを実現するためのDXを重要視する声が大きくなっていました。
武藤:これまで店舗を有する多くの企業では、まずリアル店舗があり、それに付随してECも展開しているという企業が多かったと思います。
一方、いわゆるアフターデジタルの世界では、ユーザーと常にオンラインでつながることによって、リアルな店舗が貴重な発見、体験の場となり、新たな顧客体験が提供できるようになると唱えられていました。来店した顧客がどのような方なのか、過去にどういうコミュニケーションをしていたのかということをユーザー単位で特定することで、適切なコミュニケーション、新たな顧客体験を提供可能にするという考え方です。
さらに現在はコロナの影響により、貴重な体験、発見の場である店舗が、これまで以上に貴重になりました。スーパーマーケットなどで来店回数、頻度が少しずつ下がってきているというような話を聞くと、やはりその貴重なオフラインの場を使い、ユーザーとのオンラインの接点を創出していくことが、これまで以上に大事になってくると思います。
このような課題を解決するために、LINEでは「LINEミニアプリ」の展開を本格的に開始し、店舗を起点とした顧客とのコミュニケーションを支援しています。