※本記事は、2019年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』39号に掲載したものです。
WeChatはスマホのゲートウェイに
「天下大勢、分久必合、合久必分(そもそも天下の大勢は、分かれること久しければ必ず合し、合すること久しければ必ず分かれるもの)」――そんな『三国志演義』の世界に相通ずる事象が、わずか数十年に過ぎないITの歴史の中で起きている。それはデータやリソースの集中と分散の繰り返しとも言える。
中国のスマホアプリ市場を見ると、多彩な機能を売りにしたポータルアプリや特定機能にフォーカスした専用アプリが次々と出てきたが、今は「ミニプログラム」となってひとつのプラットフォームの元に統合していく“集中”の方向へと舵を切り始めている。
ミニプログラムとはアプリ内からアクセスできるプログラムを指す。ブラウザのGoogleChromeに設置するアプリや拡張機能をイメージしてもよいだろう。アプリを多く設定することでホームスクリーンにアイコンが散乱したり、メモリやバッテリーが消費されるのを敬遠したいユーザーにとってミニプログラムは利便性が高く有り難い存在だ。
テンセント(騰訊)が展開する「WeChat(微信)」では、「滴滴出行」(配車サービス)や「美団」(フードデリバリー)、「京東商城」(EC)、「携程(Ctrip)」(オンライン旅行会社)などライフスタイルに関するジャンルだけでなく、「Office」や翻訳、OCR、辞書など、ビジネスや学習を用途とした様々なミニプログラムにアクセスできる。いわばWeChat自体が「OS内OS」となってスマホのゲートウェイとしての役割を果たしているのだ(図表1)。