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行動経済学をマーケティングに落とし込む「26の切り口」 理論で終わらせないための5つのステップとは?

 心理学と経済学を組み合わせ、人間の経済活動を読み解く「行動経済学」。消費者理解という観点では役に立ちそうですが、「マーケティングにどう活かせば良いかわからない」というマーケターは少なくないのではないでしょうか。今回紹介する書籍は、HR Design Lab.で人材支援を行う楠本氏が、実務家の視点から理論を実践に落とし込んでいく方法を解説した一冊です。

実務家の視点から、行動経済学を紐解く

 今回紹介する書籍は、『トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口』。著者の楠本和矢氏は、人材育成を支援するHR Design Lab.の代表を務め、組織の創発力強化・生産性向上を目的とした取り組みに注力しています。

『トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口』<br>	楠本 和矢(著)、イースト・プレス 1,760円(税込)
『トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口』
楠本 和矢(著)、イースト・プレス 1,760円(税込)

 消費者理解のために、行動経済学に興味をもつマーケターは多いのではないでしょうか。同氏もその一人で、各種理論のわかりやすさ、おもしろさに心惹かれるともに、マーケティングへの活用ポテンシャルを感じたといいます。しかしながら、いざ実務に落とし込むとなると、とっかかりが掴みづらい……。そこで同氏は、行動経済学をマーケティングにつなげることを目的に、理論を施策に落とし込む方法を試行錯誤。本書では、行動経済学の各種理論から、マーケティング施策アイデアを導出するための「26の切り口」をまとめ、それを施策に活かすためのポイントを解説しています。

理論を施策に落とし込む5つのステップ

 「26の切り口」の一つ「ユーザーを広告塔に」は、行動経済学の「バンドワゴン効果」をベースに、ユーザー自身を広告塔として機能させるアプローチです。

「ユーザーを広告塔に」を活用したフリーメール会社の事例

フリーメールのユーザーが未利用者にメールを送信すると、相手のメール下部に「あなたもこの『フリーメール』を使いませんか?」という文章が自動で表示される仕組みを導入。これにより、ユーザーがメールを送れば送るほど、自走的に新サービスの認知が進むように。低コストでのユーザー拡大に成功した。

 では、この例のように「26の切り口」を施策に落とし込んでいくポイントとは。同氏は、「アナロジカル・シンキング」が有効だと説いています。アナロジカル・シンキングとは、ある事例の成功要因から汎用可能な仕組みを抽出し、それを他の事例に転用する方法を考えていく思考法です。具体的には、次の5つのステップで進めていきます。

  • ステップ1:商品・サービスの前提条件の整理
  • ステップ2:「顧客価値」の掘り起こし
  • ステップ3:「阻害要因」の探索
  • ステップ4:「26の切り口」を使ったアイデア導出
  • ステップ5:アイデアの絞り込みと精緻化

 本書では5つのステップの進め方について、架空の家庭用小型ロボット「ロボミニくん」を例に解説しています。ここでは、アイデアを創出する上で起点となるステップ3から、大まかな流れをご紹介します。

 「ロボミニくん」を手掛けるプロジェクトチームは、商品を購入、継続利用してもらいたいと考えています。それを阻害する要因はどこにあるのか、ユーザー調査やデータ分析などを基に調べたところ、「認知がない」ことがわかりました(ステップ3)。これを解決するべく、「26の切り口」を照らし合わせてみると「ユーザーを広告塔に」という切り口が当てはまりそうです(ステップ4)。「ロボミニくん」のプロジェクトチームはこれを基に、以下のようなアイデアを導出することができました。

「外出が楽しくなる機能」

「ロボミニくん」を連れ出すと、街の感想を話したり、写真を撮ってくれたりする。また、他の「ロボミニくん」に近づくと、教えてくれる。

「『ロボミニくん』が電話に参加」

「ロボミニくん」のユーザーに電話すると、相手に挨拶したり、たまに会話に入ってきてくれたりする。

 その後は、全体のマーケティング戦略と整合性が取れているか、阻害要因を解決することができるかなどの視点から、アイデアを検討・精緻化していきます(ステップ5)。

 本書ではこのように、行動経済学の理論をより実効性のあるものへと昇華させています。「行動経済学の理論をマーケティングに活かしたい」「いつもと違った観点から施策を見直したい」「新たなアイデアを創出したい」という方は、ぜひ本書を参考にしてみてください。

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この記事の著者

齋藤 翔(編集部)(サイトウ ショウ)

日本大学藝術学部卒。ライフスタイル系メディアの編集を経て、MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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