本稿は、米国DIGIDAYに掲載されたHubSpot INBOUNDエグゼクティブプロデューサー キム・ダーリング氏による寄稿を翻訳し、追加インタビューを元に再編集したものです。
COVID-19パンデミックで失われた、BtoBイベントの慣例
ネックストラップや名刺、ブランド名が刻印されたペンといったノベルティーを対面型のイベントで手にするには、まだまだ時間がかかりそうです。COVID-19パンデミックは、私たちの働き方から消費活動(購入方法や販売方法)、人との付き合い方、楽しみの見出し方を変え続けています。今、イベント業界は世界的に、これまでに類を見ない大きな課題に直面していると言えるでしょう。
密閉空間で何千人もの人々と握手を交わすことに、今や私たちは恐怖感を覚えるようになりました。見込み客やビジネスパートナー候補と会うために飛行機に搭乗するということも、まったく無謀な行動に思えてきます。ビジネスのソリューションを求める人々が、広大な会場に所狭しと並ぶスポンサーブースを歩き回るというのも、もはや非現実的です。
業界の先行きは不透明なままですが、一つ明らかなことがあります。それは「元の世界に戻ることはない」ということです。そして、私はこの事実を前向きに捉えています。BtoBイベントの業界は、もう何年もの間、抜本的な改革が切望されていたからです。
BtoBイベントの長年の課題と求められる変化
BtoBマーケティングイベントは、パンデミック以前から長らく破綻していたと考えています。様々なタイプのイベントに革新がもたらされ、近代化を遂げてきた一方で、BtoB業界は価値の低い企業カンファレンスを高いコストを払って開催するという枠組みから脱却することができていませんでした。
またBtoB業界はこれまで何年もの間、「イベントは商談成立の場」という認識しか持てていませんでした。きらびやかな照明、著名な講演者の数々、フォトブースといったものは、顧客を喜ばせるためではなく、主催企業が商談を成立させるためのものでした。「来場者が素晴らしい時間を過ごせるに越したことはないが、必ずしも最優先事項ではない」が、企業の本音だったのではないでしょうか。
しかし今日の顧客は、自分が支援する企業とのつながりをより強く感じたいと望んでいます。そして、イベントは企業にとって「コミュニティの意識を醸成する非常によいツール」になり得るのです。これはBtoB企業がパンデミック前から何年も見逃してきた機会であり、パンデミックが過ぎ去った後もまた見逃されそうになっている点です。
企業は今、イベント戦略(あるいはイベント抜きの戦略)を練り直し、将来のビジョンを確立する必要に迫られています。しかし、多くの企業は対面での体験をオンラインで再現することしか考えていません。断言しますが、このアプローチでは立ち行かなくなるでしょう。
対面の体験をオンラインで再現するだけでは意味がない
オンラインの場では、これまで来場者の注目を集めるために使ってきたような巨大スクリーンや、巨額の予算を投じた展示ブース、迫力の音響システムなどに頼ることはできません。さらにいえば、Netflix、Instagram、YouTubeなど、たった1クリックで参加者の注意を妨げる競合相手は無限にあります。
3月以降、世界中の著名なミュージシャンたちは自宅で演奏し、世界に向けて発信してきました。アートギャラリーは斬新な方法でオーディエンスとつながり、まったく新しいオンラインコミュニティが一夜にして出来上がりました。一方、BtoB企業の多くはデジタル化の波の中でイベントを開催するという課題を前に、呆然と立ちすくむばかりでした。
もちろん、これらの企業は技術も、優秀なチームも持っています。彼らに欠けていたもの(それも長い間)は、現代のマーケティングミックス社会の中でイベントが果たす役割についての、先見性のあるビジョンです。
これから先、イベントプロデューサーに求められるのは、紋切り型のイベントを量産することをやめ、オンラインイベントでの体験をどのようにレベルアップしていくかを考えることです。イベントの役割や理想の姿、今までと異なる手段でどのようにエンゲージメントを構築するかをしっかりと考え、この業界を新たに作り直す必要があるでしょう。
オンラインイベントの計画&開催ノウハウがわかる「無料ガイド」を配布中!
COVID-19の影響で、対面でのイベントはオンラインイベントに移行せざるを得なくなりました。そこでオンラインイベントを開催する皆様のお役に立てるよう、HubSpotは動画プラットフォームのVimeoと協力し、オンラインイベントを成功させるためのガイドを作成しました。予算計画から宣伝方法まで、事例とあわせてご紹介します。
★無料ダウンロードはこちらから!