両者を分ける「ライン」はどこにあるのか?
このATL/BTLの分類について、もう少し考えてみましょう。
- ATL…マスメディア4媒体を利用した、告知系(またはコミュニケーションとしての)メディア施策。
- BTL…マスメディア4媒体以外を利用した、いわゆる販促活動を中心とした販売戦略系施策。
この考え方は、以下のように言い換えることもできると思います。
- ATL…従来の評価軸を共有しているもの。
- BTL…ちょっと違った評価軸・視点で考えなければいけないもの。
このようにまとめると明確な区分けが可能であるかのように思えますが、実際は、その「境界線(ライン)」はかなりあいまいな場合が多いのです。
ラインはどこに存在するのか?
境界線をあいまいなものにしている大きな要因のひとつが、インターネット広告の存在です。現在、インターネット広告市場はラジオ広告の規模を上回り、マスメディア的な要素を果たすようになっています。こうなると、ATLとBTLのいずれもあてはまると考えなければなりません。
たとえば、マスメディアが運営しているWebサイトと自社で運営しているWebサイトはどのように分類できるのか、また、テレビCMを公開している企業Webサイトはどう考えるのか、という問題が出てきます。
そのほかにも、
などなど、さまざまなWeb連動広告が展開されています。これらを明確なラインをひいて分類することは、ちょっと難しいでしょう。
現在の状況としては、ATLとBTLを組み合わせて一貫したキャンペーンとして展開することが普通になっていると考えるのが正しいようです。では、どのような基準でインターネット広告を採用し、立案・評価すればよいのでしょうか?
ここでも重要になるのが、クロスメディアの考え方です。「マス媒体だろうとプロモーションだろうとネットだろうと、全部を一貫して扱うことによって新しいコミュニケーションが生まれる」というのは、まさにクロスメディア的な発想です。
従来のマーケティングの世界では、ATLとBTLの間に境界線が存在していました。大企業では、ATLとBTLはまったく別の担当者が、別の戦略・評価軸で判断して扱っていたのです。しかし、最初からネットを最大限に利用してきた企業では、そんなものはすでに乗り越えているのです。「お客様が買いやすければ、その方がよいに決まってる!」というわけです。