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D2Cブランド大解剖

D2Cのマーケに必要なのは“余白と曖昧さ” Minimal(ミニマル)と考えるお客様を引き寄せる法則

 オイシックス・ラ・大地の西井敏恭氏が、D2C(Direct to Consumer)ブランドのキーパーソンたちと対談する連載「D2Cブランド大解剖」。第3回のゲストは、チョコレートブランド「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」を手がけるBaceの代表取締役 山下貴嗣氏だ。2014年の立ち上げ当初は店舗運営に注力し、2019年にはECをスタートした同社。どのような戦略の下、ブランドを育てていったのだろうか。

「産地2C」で頭角を現す

西井:最初にブランドの特徴や、誕生の背景について教えてください。

山下:Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル ビーントゥバーチョコレート:以下、ミニマル)」は、2014年の12月1日にローンチしたチョコレートブランドです。

 「Bean to Bar」とは、原材料であるカカオ豆の仕入れから、製品である板チョコを作るところまでを自社工房で一貫管理して行う製法のことで、2007年頃、ニューヨークのブルックリンにあるチョコレートブランドがBean to Barという名称を使用して販売をはじめたと言われています。

 従来のチョコレート製品は、商社が豆を買い付け、一次加工メーカー、二次加工メーカーと中間流通を経て消費者の手元に届いていました。その中間流通をすべて省いて、メーカーがチョコレートの製造工程をすべて行うスタイルを確立したわけです。ミニマルもその方法を採用しています。

西井:なるほど、D2C改め「産地2C」と言えそうですね。この発想に至ったきっかけはありますか?

山下:ヒントは、ワインとコーヒーでした。私は元々ワインやスペシャルティコーヒーが好きなのですが、特にヨーロッパでは、ワインは産地と製造方法、そしてブランディングで価値が決まるという文化体系が成り立っていますよね。

 一方スペシャルティコーヒーは、バイヤーが豆を買い付けに行き、生産者と一緒に質の高い豆を作る方法です。アメリカを中心に浸透し、新たな市場を創造しました。つまり、産地や作り方にこだわる発想がジャンルを超えて支持されているのです日本で受け入れられるのは何だろう、と考えたとき、チョコレートだと思いました。当時、チョコレートの大量生産はレッドオーシャンであるものの、カカオ豆を産地からダイレクトに買い付けてきて、自分で加工してチョコレートを作るという領域は完全にブルーオーシャンでした。

株式会社Bace 代表取締役 山下 貴嗣氏
株式会社Bace 代表取締役 山下 貴嗣氏

OEMは請け負わず、自社ブランド一本で勝負

西井:昨今チョコレートのD2Cブランドも増えてきましたが、ミニマルにはどんな特徴がありますか?

山下:「引き算の発想」でチョコレートを作っているところです。チョコレートは、これまでカカオにミルクやバターなどを「足して」作るのが一般的でした。一方私たちは「チョコレートを、新しくする。」というブランドミッションを掲げ、カカオ豆には徹底的にこだわり、それ以外は「引き算する」という思想でチョコレートを作っています。また、OEMは請け負っておらず自社ブランド一本で勝負してきた点も珍しいかもしれません。

西井:日本のD2Cはチョコレートに限らず、OEMを担っているケースが多いと思います。ですがD2Cの利点は、ユーザーと直接つながってフィードバックをもらいながら、PDCAを回してアジャイル的に製品をブラッシュアップできることです。その利点を最大限に活かしているのですね。

 僕が関わっているオイシックスのミールキットも、100人ほどのごく少ないロイヤルユーザーが、毎週50項目もある、ものすごい量のアンケートに熱い回答をくださって生まれたものです。その過程を経て、売れる商品になっていきました。

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT 株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT
株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35334

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