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2021年は「真のVR元年」に?消費者・企業・制作テクノロジー動向に見る、予想されるVRトレンド

企業の動向:生産性改善・コスト削減の効果などの利点から導入加速

 消費者サイドでVR利用が増えているということは、消費者の情報やメディアに対する接し方が大きく変化しているということでもある。その変化に企業も対応せざるを得ない。

 かつて消費者とのインターフェースがパソコンからモバイルファーストに変化したように、VRファーストと呼ぶべき大きな変化が起こる可能性がある。

 上記IDCのレポート以外にも、企業のVR投資の加速を示す調査がある。VR・ARプロバイダのGrid Rasterが実施した調査(2020年4月22日)によると、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業では人との接触を最小化するためにVR・ARの導入が加速していることが判明。

 同レポートによると、企業の経営者215人のうち、既にVR・AR施策を実施しているとの回答は56%、今後実施することを検討するとの回答は35%に上ることが明らかになった。また、顧客の訪問をバーチャル化したとの割合は53%と、半数以上が何らかのVR・AR施策を実施していることもわかった。

 また、VR・AR施策を実施している企業の29%は、生産性が25%以上改善したと回答。61%の企業は20%のコスト削減を実現できたと答えており、生産性向上やコスト削減でも利点があることが示されている。

 一方、リテール企業にとっては、VR・AR投資は消費者との接点を増やすことにもつながる。

 ニールセンの調査(2019年12月)では、グローバル消費者の51%がVR・ARを通じてプロダクトにアクセスすることを望むと答えているのだ。新型コロナの影響を考慮すると、この割合はさらに高くなっていることが考えられる。

 消費者の変化、またIDCやGrid Rasterの調査が示すように、2021年は企業によるVR・AR投資が一層進む可能性がある。

VRコンテンツ制作テクノロジーの動向:360度カメラやゲームエンジンの進化

 VRコンテンツ制作に関わるテクノロジー動向からもVRが普及する可能性を論じることができる。

 VRコンテンツは大きく2つに分類できる。1つは、360度カメラで撮影した映像から作成するもの。もう1つは、コンピュータグラフィック(CG)によるコンテンツだ。前者はNBAやメジャーリーグのVR配信、後者はVRゲームが当てはまる。

 この2つの領域におけるテクノロジーの進化、制作ワークフローの整備、さらには5Gの普及によって、VRコンテンツの制作・配信スピードが驚くほど加速している。つまり、コンテンツの多様化が起こる前兆であり、それによってさらに多くの消費者がVRシフトを起こすことにつながるかもしれないのだ。

 数年前まで、プロの現場でよく使われていたVRカメラの1つがGoPro6台を使ったシステム。撮影時には、GoProのスイッチを1台1台オンにし、編集では専用ソフトウェアで「スティッチ(つなぎ合わせ)」するなど、多大な労力を要した。

 今では8Kで撮影できる専用の360度カメラが登場。ライブストリーミングにも対応しており、ワークフローは大幅に短縮したといえる。

 CGによるVRコンテンツでも、かつてはレンダリングに多くの時間を費やしていたが、今ではリアルタイムレンダリングが可能なUnityやUnreal EngineなどのゲームエンジンにおけるVRコンテンツ制作ワークフローが整いつつある。これらのゲームエンジンは基本無料で利用できることから、クリエイターも増えており、VRコンテンツの多様化につながることが期待できる。

 一方、360度カメラもVRコンテンツ製作ソフトウェアもまだまだ発展の途上。2021年は、VR制作テクノロジー/ワークフローの一層の進化が見込まれる。

 2015年頃「VR元年」などといわれ、VRへの注目度は一気に高まったが、当時VRヘッドセットが思ったほど普及せず、VRへの関心は一度薄れてしまった印象だ。しかし、新型コロナの影響やOculus Quest 2の登場など、今回はVRが本格的に普及する要素が揃っている。冒頭で紹介した調査レポートの予測は現実のものとなるのかもしれない。

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この記事の著者

細谷 元(Livit)(ホソヤ ゲン)

生成AI関連のトピックを中心に執筆。最近の注目トピック/キーワード:エージェンティックAI、LangGraph、Deep Research、Anthropic、オープンソースモデル

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35344

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