“ステイホーム”がDOOHにもたらした影響は?
――新型コロナウイルスの影響が長期化し、昨年に引き続きステイホームが呼びかけられています。人々の外出機会が減っていることで、「DOOHに出稿することに不安がある」という広告主の声もあるのではないでしょうか?
神内:確かに昨年の緊急事態宣言下では、繁華街から人がほとんどいなくなった様子が多く報道されていました。しかしデータを見ると、人々がまったく外に出なくなったということではなく、ニューノーマルな生活スタイルに沿って、密にならないよう適度な距離を保ちつつ行動するようになっているという理解が正しいのかもしれません。
――なるほど。詳しく教えてください。
神内:NTTドコモの「モバイル空間統計 」をご存じでしょうか? 日本全国において1時間ごとの人口分布を24時間、365日人の流れを計測できるもので、ニュース番組で引用されることもあります。それによると、昨年、緊急事態宣言が発令されてすぐの4月時点では、東京駅や新宿駅、渋谷センター街など都心の人流は約80%もの減少が見られました(図1参照)。
都心における大きな人流の減少により、DOOH広告を見る人の数(インプレッション=視認者数) も大幅に減少しているのがわかります(図2)。しかしながら、郊外型DOOHのように生活圏に設置されたDOOHの視認者数は緊急事態宣言前とほぼ同じレベルか、むしろやや増加傾向が見られます。
また、第2回目の緊急事態宣言が発令された今年2月以降については、第1回目の緊急事態宣言のときと異なり、最大でも約20%しかDOOHの視認者数は減少していません(図3)。
このことから、インプレッション(=視認者数) をベースにしているDOOHを活用すれば、コロナ禍においても目標の視認者数が担保され、安心してメッセージを届けることができるとご理解いただけると思います。
モバイルデータをDOOH配信に活用
――その時々の状況に合わせて出稿をコントロールしていくことが、DOOHの成功のポイントになりそうですね。
神内:はい。そこで私たちLIVE BOARDでは、モバイルデータなどのビッグデータとアドテクノロジーを活用することで、従来のような「枠」起点ではなく、「オーディエンス」起点でのプランニング・配信を実現する仕組みを整えました。
神内:当社ではニューノーマルの時代に広告主がメディアに求めることを、Accountable(正しい媒体価値を知りたい)、Addressable(最適な枠を必要なタイミングで購入したい)、Attributable(広告効果がはっきりわかる媒体に出稿したい)、の「3A基準」にまとめ、このニーズに沿うかたちでサービス開発・提供を進めてきました(図4)。
今広告主は、ニューノーマルな生活スタイルに合わせてマーケティング施策を調整しており、不透明な状況下で以前より予算を抑えなければいけないケースも増えています。広告の“無駄打ち”が許されない状況において、この3A基準を満たすことはますます重要になっているでしょう。ここからは、LIVE BOARDのDOOHがどのような仕組みで3A基準に応えているのか、ご説明します。