“とある1つのツイート”がきっかけに
「社会の変化をリードするブランド~その発信力とマーケティング戦略」と題された本セッションには、味の素冷凍食品とサイボウズの2社が登壇。まずは、味の素冷凍食品にて対外コミュニケーション業務に従事し、Twitter公式アカウント「味の素冷凍食品【公式】(@ff_ajinomoto)」の運用担当者でもある“中の人”氏が「冷凍餃子#手間抜き論争」の事例をテーマに語った。
同社は2020年2月にTwitter公式アカウントを開設した。きっかけは同社の定番商品である「やわらか若鶏から揚げ ボリュームパック」を食物アレルギーに配慮してリニューアルした際。SNS上に顧客の喜びの声が多数挙がっていたが、それに応える手段を持ち合わせていなかった。そのため運用の主目的は“顧客の声に応答し、深いコミュニケーションを行うこと”であり、目標設定は特に行っていなかったそうだ。
そして開設から半年後の2020年8月、「夜ごはんに冷凍餃子を出したところ、夫から“手抜き”と言われた」という趣旨の主婦のツイートが話題になった。
「冷凍食品は簡単便利。それだけが目立った利便性と捉えられてしまい、それゆえに手抜きという印象を持たれることも多い食品です。そのイメージを変えていくことは、業界として課題意識を持っていました。そのような中、偶然、このツイートが話題になりました。
話題になってから比較的早いタイミングで、該当ツイートに向けて、『手抜き』ではなく『手“間”抜き』であるとリアクションをしました。これがきっかけとなり、後の手間抜き論争へとつながっていったのです」(“中の人”氏)
コロナ禍において人との交流が分断される中で、何を食べるかよりも誰かと食卓を囲む時間が大切と、“中の人”氏自身が感じていたことが「手間抜き」という発信の背景にあったと言う。こうして味の素冷凍食品のTwitter公式アカウントは注目を集めた。
盛り上がりを受けてすべきことは「企業姿勢の表明」
「手間抜き」のツイートには多くの反響が寄せられたが、同社では中の人個人の発信から、企業ゴトに活動を昇華させ、PR動画を作成し発信を試みた。盛り上がりを受けて、次に行うべきことは「手間の可視化」と「企業姿勢の表明」と考えたのだ。
動画は、1ヵ月で構想から撮影、編集までを行ったそうだ。動画制作の経験が多くなかったものの、代理店の尽力もあり短期間でローンチできた。