44万いいね!を獲得、売上にも好影響が
同ツイートは約13.5万リツイート、44万いいね!をもらったほか、影響力のあるオピニオンリーダーの支持や、キー局を中心に270件のメディア露出に成功。冷凍餃子の使用を肯定するツイートは約3倍に増加した。その時の様子を“中の人”氏は次のように振り返った。
「一連のPRを通して、冷凍餃子を使用することに対するポジティブな意見がTwitterにあふれました。その多数のポジティブな意見が冷凍食品にネガティブな印象を持っていた方々にも届き、それが意識変容のきっかけになったかもしれません」(“中の人”氏)
売上貢献という点では、冷凍餃子市場は前年比118%と大幅に伸長。コロナ禍の影響で冷凍食品市場全体が前年比111%と伸長していたが、それを7ポイント上回っている。また一連のPRを店頭のPOPとして展開するなど営業現場の活動にも活かされ、「仕事に誇りを持てる」と従業員のモチベーション向上にもつながっている。
なお「『手抜き』ではなく『手間抜き』」という表現は、冷凍食品業界で以前から使用されていたものだったという。効果的なタイミング・方法で誠実にコミュニケーションを行うことでメッセージが浸透し、「冷凍食品」の価値向上につながっていったのだろう。
「がんばるな、ニッポン。」は世の中にどう広がった?
同じく2020年にSNSで話題になった、サイボウズの新聞広告およびテレビCMの「がんばるな、ニッポン。」。その発信を担ってきたのは、同社のコーポレートブランディング部の部長である大槻幸夫氏だ。同社の営業・マーケティングセクションはエクスペリエンスモデルに従い役割分担をしており、大槻氏のコーポレートブランディング部では、サイボウズを知らない人の認知~関心を獲得するミッションを負っている。

「がんばるな、ニッポン。」のメッセージは、もともと新型コロナウィルスの感染拡大にともないテレワークの機運が高まり初めた頃の広告メッセージとして、2020年の3月に日経新聞の全面広告において公開された。
「外出自粛が呼びかけられる一方で、『強制出社』『一律出社』という言葉も飛び交っていました。そこで、出社/在宅の最終判断をする経営者のみなさんに、『テレワークが可能な方には“頑張らないで”テレワークをしてもらうことで、どうしても出社しなければいけないエッセンシャルワーカーや、サービス業の方々のリスクを減らしませんか?』と呼び掛けたのです。同時に、サイボウズが行ってきたテレワークのノウハウを共有するWebサイトも紹介しました」(大槻氏)

この日経新聞の全面広告への反響を受け、テレビCMの制作に着手。テレビCMの閑散期であったこと、コロナ禍で出稿量が少なくなっていたことも追い風だった。新聞広告からテレビCMまで、継続してマスプロモーションに取り組んだことで反響はさらに大きくなり、SNSでも好意的な投稿が目立つようになったそうだ。
ナレーションなしver.
CM出稿後は「がんばるな、ニッポン。」のメッセージがニュースサイトで大きく取り上げられたほか、週刊誌の見出しに言い回しが採用されたり、ニュース番組にゲストとして呼ばれてその意図を説明することになったりと、さらなる広がりが生まれた。同時期のCM好感度ランキングでも、BtoCのグローバルブランドが並ぶ中、日本国内のBtoB企業である同社がランクイン。数々の広告賞も受賞した。
