「非効率にいこう。」に込めたメッセージ
2020年はプレイドにとって節目の年となった。12月17日に上場を果たしたのだ。その際に新聞に出した一面広告のメッセージは「非効率にいこう。」。これは「企業の活動において効率化を求めすぎるとコモディティ化した無機質で平準化されたコミュニケーションの集合体になってしまうという危惧をあらわにしたものだ」と三浦氏は語った。
プレイドのミッションは「データによって人の価値を最大化する」――大切なのは人であり、「人が持っている創造性や情熱をもっと発揮できる環境を作らなければならない」という。
具体的には、KARTEの導入により、リアルタイムかつ解像度高くお客様一人ひとりの状態がわかるようになり、その情報を豊かな体験として還元することで顧客の享受する価値の向上を図ることができる。「お客様を一人の“人”として捉え相対することができれば、社員が持つ情熱や創造性をお客様に対して発揮できるようになる」、と三浦氏は説明する。
プレイドでは、KARTEの開発と提供にとどまらず、CXにフォーカスしたビジネスメディアの「XD」や「XD MAGAZINE」、半年に一度のカンファレンス「CX DIVE」、J-WAVEとコラボしたラジオ「KARTE CX VOX」などの活動も展開している。新しい体験の実装を担うR&Dの取り組みとして、Webサイト上の顧客の動きをVRで人として可視化する「K∀RT3 GARDEN」、おもちゃのようなデバイスで店舗のスタッフとオンラインの顧客のやりとりを行う「KARTE GATHER」も紹介した。
CXを阻む5つの壁
次に、三浦氏は市場の状況について触れた。
CXの重要性を示すものとして、PwCが世界12カ国で行った調査を紹介した。そこでは、73%が「購買前の顧客体験が購買決定において重要な要素である」と回答。トップパフォーマンス企業の82%はヒューマンエクスペリエンスに細心の注意を払っている、などのことがわかった。
また米国の顧客の59%は、その会社の製品を好んでいても何度か悪い体験をした後はもう購入しないと考えていることもわかったという。「ミスコミュニケーションや体験のロスがいかに大きいかを物語っている」と三浦氏。Forrester Consultingの調査では、CX向上に取り組んだことでLTV(ライフタイムバリュー)、顧客満足度評価がともに1.6倍に、顧客維持率が1.7倍に、リピート購入率が1.9倍になるなどの効果が出ていることもわかった。
「(CXは)もはや、やる・やらないの議論は必要ないフェーズを迎えている」(三浦氏)