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MarkeZine Day 2021 Spring(AD)

高解像度な顧客理解により体験の良質化を実現するCXプラットフォーム「KARTE」の可能性

 CXプラットフォーム「KARTE」のプレイドは2020年12月にIPOを果たした。KARTEはWeb接客ツールとしてスタートし、CXプラットフォームとして機能を拡充してきた。しかし同プラットフォームを活用できるのは「販促マーケティングの領域だけでない」と語るのは、同社でセールスディレクターを務める三浦裕大氏だ。三浦氏は「MarkeZine Day 2021 Spring」で、プレイドとKARTEの「より多面的な接点・チャネルにも良質な顧客体験を拡大する」可能性について紹介した。

「非効率にいこう。」に込めたメッセージ

 2020年はプレイドにとって節目の年となった。12月17日に上場を果たしたのだ。その際に新聞に出した一面広告のメッセージは「非効率にいこう。」。これは「企業の活動において効率化を求めすぎるとコモディティ化した無機質で平準化されたコミュニケーションの集合体になってしまうという危惧をあらわにしたものだ」と三浦氏は語った。

 プレイドのミッションは「データによって人の価値を最大化する」――大切なのは人であり、「人が持っている創造性や情熱をもっと発揮できる環境を作らなければならない」という。

 具体的には、KARTEの導入により、リアルタイムかつ解像度高くお客様一人ひとりの状態がわかるようになり、その情報を豊かな体験として還元することで顧客の享受する価値の向上を図ることができる。「お客様を一人の“人”として捉え相対することができれば、社員が持つ情熱や創造性をお客様に対して発揮できるようになる」、と三浦氏は説明する。

 プレイドでは、KARTEの開発と提供にとどまらず、CXにフォーカスしたビジネスメディアの「XD」や「XD MAGAZINE」、半年に一度のカンファレンス「CX DIVE」、J-WAVEとコラボしたラジオ「KARTE CX VOX」などの活動も展開している。新しい体験の実装を担うR&Dの取り組みとして、Webサイト上の顧客の動きをVRで人として可視化する「K∀RT3 GARDEN」、おもちゃのようなデバイスで店舗のスタッフとオンラインの顧客のやりとりを行う「KARTE GATHER」も紹介した。

株式会社プレイド セールスディレクター 三浦裕大氏
株式会社プレイド セールスディレクター 三浦裕大氏

CXを阻む5つの壁

 次に、三浦氏は市場の状況について触れた。

 CXの重要性を示すものとして、PwCが世界12カ国で行った調査を紹介した。そこでは、73%が「購買前の顧客体験が購買決定において重要な要素である」と回答。トップパフォーマンス企業の82%はヒューマンエクスペリエンスに細心の注意を払っている、などのことがわかった。

 また米国の顧客の59%は、その会社の製品を好んでいても何度か悪い体験をした後はもう購入しないと考えていることもわかったという。「ミスコミュニケーションや体験のロスがいかに大きいかを物語っている」と三浦氏。Forrester Consultingの調査では、CX向上に取り組んだことでLTV(ライフタイムバリュー)、顧客満足度評価がともに1.6倍に、顧客維持率が1.7倍に、リピート購入率が1.9倍になるなどの効果が出ていることもわかった。

 「(CXは)もはや、やる・やらないの議論は必要ないフェーズを迎えている」(三浦氏)

CX推進を具体的に進めるためのプロダクト

 CXの取り組み支援にあたってプレイドが提供するのがCXプラットフォーム「KARTE」だ。強みは、「すべての顧客を人軸でリアルタイムかつ高解像度に可視化できる」こと、そして「一人ひとりの特徴やシーンに合わせた自由自在なアウトプット」の2つ。「高解像度での可視化が圧倒的な強み、その上で一人ひとりに合わせたアウトプットにより価値が最大化される」と三浦氏は説明する。

 加えてナレッジデータベース「STORE」では、接客テンプレート、コミュニケーションテンプレートなどを提供している。これを利用して、導入後すぐにCX改善に着手し、次の一手を探すことができるという。

 導入企業はEC、金融・保険、IT、メーカー、教育、不動産、人材と多岐にわたるが、「オンラインのビジネス貢献度が高いビジネスモデル、直接顧客にサービスを提供する会社が多い」と三浦氏はいう。

 次に挙げたのは「KARTE Live」だ。顧客が実際に開いている画面を動画として見ることができるため、顧客の動きが停滞する場所からわかりづらい箇所やボトルネックを発見することができる。導入企業の中にはチームでKARTE Liveを見てお客様の理解を深めるようにしているところもあるという。

 KARTEを使ってCX向上を進めると、顧客の行動がデータとして蓄積されていく。そこでプレイドが用意するのが「KARTE Datahub」だ。行動データなどのKARTEのデータ、顧客や商品、店舗などの社内データ、さらにはCRM、営業支援、データウェアハウスといった外部のサービスを統合し、加工と分析をすることで一人ひとりに合わせたコミュニケーションなどのデータ活用につなげることができる。

 三浦氏はKARTE Datahubの新機能を3つ紹介した。1つ目は、KARTEと「Google Cloud Platform(GCP)」の親和性を活かし、Google BigQueryとシームレスに連携できる「Datahub Direct Link」、2つ目はKARTE Datahub上でデータの加工分析、チャートやダッシュボードの作成などのビジネスインテリジェンス(BI)機能を利用できる「Datahub BI」、そして3つ目が機械学習(ML)を少ない工数で導入して購買予測などに利用できる「Parameterized ML」だ(Datahub BIとParameterized MLはベータ版での提供)。

非エンジニアがアイデアを試すことができる

 このように進化を続けるKARTE、導入のメリットとして三浦氏は次の3つを挙げた。

1.変化する個客ニーズを把握し、顧客体験/商機を最大化できる
2.高レベルのアクションを、発想してすぐに形にできる。管理/集計/オペレーションコストも最小・最適化にもつながる
3.統合マーケティング基盤として一貫性ある顧客体験を創出できる

 中でも2つ目の非エンジニアもアイデアを試してみることができるメリットは、人の創造性を引き出すテクノロジーを目指すというプレイドのビジョンに通じる重要なポイントとなりそうだ。

 三浦氏は3社の顧客の声を紹介した。中でもSBI証券はカスタマーサポートでKARTEを導入した結果、カスタマーサポートを介さず、お客様自身で自己解決できる数を10倍に増やすことができたという。

コロナにより変わる接客、オンとオフの連携は必須に

 プレイドは販促マーケティングを主な領域とするが、その前後の集客、カスタマーサポート、NPS(ネットプロモータースコア)、オンライン/オフラインでもCX改善に向けた取り組みを支援している。ここでは三浦氏が解説した導入事例の中から、いくつかの事例を紹介する。

 たとえば集客では、GoogleやFacebookなどで広告を展開する場合、KARTE Datahubを使ってその反応データをKARTEと連動させて自社サイト内でそのデータを活用し、Datahub BIを使って誰にどういう広告を出すべきかを理解するなどのことができるという。

 オンラインとオフラインを連携した事例では、実店舗とWeb/アプリを横断して顧客を理解し、店舗購入者のみにWebアプリからオファーをするという小売り/アパレルの例も紹介した。実店舗のみの顧客と実店舗とECサイトの両方を利用する顧客とのLTVに4倍の差があることから、オンラインとオフラインの併用率を改善させるのが狙いで、KARTEで実店舗購入のみの顧客を抽出してDatahubに連携させてメールマガジンを送付、「特別オファー」としてECサイトへ案内、限定クーポンを提供するということを行った。

 オフラインではDMを使って特別感を演出するという例も紹介した。若い人ほどDMは特別感があることから、KARTEで解析している顧客情報から、嗜好性や属性をもとに複数のセグメントを抽出し、それぞれのセグメントにあった内容のハガキDMを実店舗のキャンペーンを案内したところ、効果は絶大だったという。

NPSでは感情データのEmotion Techと協業

 カスタマーサポートでは「チャットの問い合わせに対し、KARTEを使ってその顧客がどこを見て問い合わせをしているかを把握することで、効率性を高め、さらに顧客満足度を上げることができる」と三浦氏。顧客ごとに固有の番号を発行し、その番号をもとにすばやくKARTEの管理画面でその顧客を特定し、適切に顧客の困りごとを理解できるという。

 NPS(ネットプロモータースコア)は推奨度を聞くものだが、KARTEのアンケート機能を活用した顧客モニタリング基盤の構築などが可能だという。KARTE Datahubのクエリコレクション機能を使ってNPS取得結果を分析し、Datahub BIで集計データを可視化、月次でモニタリングするというものだ。

 これに加え、三浦氏は「推奨度を収集するという点では、ノウハウが必要」とし、プレイドが出資する感情データの収集・解析などの技術を開発するEmotion Techとの協業で実現した「Simple CX Survey」を紹介した。Simple CX Surveyでは、テンプレート化されたアンケートでお客様に対してNPSに取り組むことができる。そのため、適切なフィードバックを集めたレポートが得られ、どこがボトルネックになっているかなどがわかるという。

 三浦氏は、「これまでは企業活動のために顧客から預かったデータを使ってきたが、これからはもっと顧客のために使わなければならない。そのためにはまず顧客を徹底的に理解する必要がある」と語った。

 そして、「我々はあらゆるチャネル、接点において徹底的に顧客を知ることが可能な環境を企業へ提供する。企業はそれをもとに最高の体験を顧客に提供できる」とKARTEとプレイドの可能性をまとめ、セッションを終えた。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/04/27 12:00 https://markezine.jp/article/detail/35889