1to1コミュニケーションがタグを入れるだけで即実現
では、具体的にどのような施策をしていくのか。ひとことで言うと、サイトにタグを埋め込むことで、サイト内での1to1コミュニケーションを行っていく。
たとえば、カート内に商品が残ったままの“カゴ落ち”状態の顧客に対しては、「お買い忘れはありませんか?」といったメッセージを送ったり、商品閲覧時に「現在10人がこの商品を閲覧しています」「10人がこの商品を購入しました」などのポップアップを表示させたりすることが、タグを埋め込むだけで可能。
キャンペーン開催中に「あと〇時間で売り切れます」などと表示したりすることもできる。「通常こういった施策は、すぐに制作することができなかったり、個別のカスタマイズも難しかったりしますが、Reproを使用すると、タグを入れるだけで実現可能になります」と實川氏。こうした施策を通して、1to1コミュニケーションをスピーディーに行えることがReproの特長である。
【事例】1年間で行った施策は200以上、CVRは180%改善
「コンバージョン最大化サービス」を導入して1年で200以上の施策を行い、CVRを180%改善、ROI863%を実現させたのが、アパレルブランドのWEGOだ。WEGOは、Webサイトとモバイルアプリの両方でECを展開している。
まず行ったのは、Webサイトの改善。Reproがサイトの分析、施策の提案を行い、それを受けてWEGOと共同でディスカッションしながら施策を進めていった。
「完全に我々に丸投げしていただいてももちろん構わないのですが、どのようにしたいか、どうすべきかについては、オーナーシップを持って関わっていただくというのが理想的な体制です」と實川氏。ミーティングは月に1回程度、1時間以上にわたる議論を重ねてきたという。
行われた施策のひとつがWEGOが以前からコンテンツとして持っていた「STAFF STYLE」の活用だ。カリスマ店員がおすすめしていたから、この店員のコーディネートが好きだから買うということはよくあるが、実際にReproで分析すると「STAFF STYLE」を閲覧したユーザーのCVRが高いことが判明した。
しかし「STAFF STYLE」はサイトの奥まったところにあり、ユーザーがたどり着きにくかったため、ポップアップを表示し誘導。その結果、CVRが大幅にアップしたという。
また、ECはコラボアイテムの単発購入で終わってしまうユーザーが多いことも分析から明らかに。年間平均購入回数が、店舗は年5回であるのに対し、ECは1.5回であった。そこで、ポイントプログラムの会員へポイントを利用した買い物を促すポップアップを表示した。
「ポイント利用を促すポップアップは一般的ですが、この施策では、貯まっているポイント、年齢、性別などによってクリエイティブを変えるなど施策を細分化し、チューニングしていきました」と實川氏。施策の結果から仮説を立てて、改善していくというプロセスを回すことで、ECでの平均年間購入数もアップすることができた。
興味深いのは、共同で施策を行ったWEGOの担当者が、それまでは店舗で業務をしていたスタッフだったという点だ。デジタルマーケティングの知識やノウハウが十分でなくても、ここまでの施策を実行できたというのは驚きだろう。
最後に實川氏は、「Reproはツールを提供しているが、人の力を重視しています。今後もツールの力と人の力を合わせることで、企業の成果をあげることにフォーカスしていきたいと思います」と抱負を語って、講演を結んだ。