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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

D2Cブランドの成長を支えるデジタル×マス融合の可能性

消費財メーカーのマーケターから見た、D2Cというトレンド

ブランド・エクイティの概念が融合のカギになる

 今後はマスとデジタルのどちらについても「単なる購買場所」「告知の場所」に留めるのではなく、ブランド・エクイティ(brand equity)を高める手段と捉え、組み合わせることによってブランドの価値を最大化していくことが、命題となっていくでしょう。

 ここでブランド・エクイティについて、簡単に説明します。そもそもブランドとは「品質を超えた価値やイメージ」であると私は考えています。人々の中にあるそうしたイメージが積み重なってできたものが、ブランド・エクイティです。消費財領域においても、シャンプーやボディソープ、洗剤など機能面では大きな差異がなくとも、消費者が各ブランドに抱くイメージは異なると思います。こうしたイメージの集合体が、ブランド・エクイティです。

 百貨店にある高級なブランド物を想像すると、さらにわかりやすいかもしれません。高級ブランドに対して、「高くて良いもの」「セレブが持っているもの」「長持ちするもの」「成功者の象徴」など、様々なイメージをもっているのではないでしょうか。その集合体がブランド・エクイティです。

 デジタル広告の場合、広告を見た瞬間の「即時購入」をメインの目的としていて、ブランド価値向上に寄与していない例もたくさんありますが、マス広告の場合、広告を見た瞬間に消費者が購入するということは少ないため、広告を通してイメージを作り上げることが重要になります。イメージを作り上げておくことで、小売店に消費者が行き、棚で商品を目にしたときに選択肢に入ることができます。

デジタル広告もブランド・エクイティ構築に貢献していく時代に

 重要なのは、デジタルかマスかの二項対立に陥らないことです。即時購入してもらえるというデジタル広告の強みを活用しつつ、消費者の中のブランドイメージを作り上げる、ブランド・エクイティ構築活動を両立していかなければなりません。

 そして、デジタル上での広告出稿が増えていくなかで、単なる即時購入を促す手段ではなく、ブランド・エクイティを構築する手段としてのデジタル広告という概念が、今後重要になっていくでしょう。現状では、デジタル広告は「高い」と言われがちですが、新しくできたばかりのプラットフォームなどでは広告単価を抑えることができますし、可能性は広がっています。このことについては、第2回の記事でも触れていきたいと思います。

 言うまでもなく、既存の小売店の売上をデジタル上に移行しただけではブランドとしての売上は伸びません。デジタルマーケティングを中心にマーケティング活動をしている企業では、マスマーケティングをどのように導入していくか、またマスマーケティングが中心の企業ではデジタルマーケティングをどのように導入していくかを経営者やマーケティング担当者が考えていくことで、ブランドのさらなる成長が見込めるのではないでしょうか。

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この記事の著者

木村 元(キムラ ツカサ)

株式会社Brandism
代表取締役

ユニリーバに2009年に入社。約12年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。国内を中心とした360°のプロモーションから、グローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社にてダヴを担当し、グローバル全体のブランド戦略設計をリードした後、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/36135

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