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マーケター理子の成長記~パーパスドリブン・マーケティングを学ぶ~

社会課題の解決とビジネス成長を両立するために必要なこと/第7話【マンガで学ぶ:トレード・オン】

「イノベーションのジレンマ」を乗り越える時、「パーパス」が要となる

 先日、全日本菓子協会が発信したリリースによると、日本のお菓子市場は1960年の統計開始以来、最大の下げ幅を記録したとのことで、ニュースサイトでも大きく取り上げられていました。

 その要因は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、インバウンド需要や都市部の需要が減少したことでした。ここまでの急激な変化は特殊な状況によるものとしても、市場というものは常に変化をしています。

 過去に売れていた主力製品が徐々に陳腐化したり、お客さんのライフスタイルの変化により需要が別の市場にスライドしていったり、あるいはクレイトン・クリステンセンが「イノベーションのジレンマ」で表したような、新興企業が既存市場を破壊するような変化をもたらしたりと、様々な変化が起こりえるでしょう。

 前回のテーマとなった「ジョブ理論」はまさに「イノベーションのジレンマ」を乗り越える考え方として提唱されたものですが、満たされていないジョブというニーズを見つけられたとしても、実際に自分の足で未知の市場に一歩目を踏み出すのは、なかなか勇気がいるのかもしれません。

 市場がシュリンクしていく中、活路を求めようというとき、企業の中でも様々な視点での議論が交わされることと思います。ある人は苦しい時こそ原点回帰が必要だと主張するかもしれません。ある人は同じビジネスを市場開拓、たとえば海外進出や大人向け、健康志向などセグメントを変えてみようと考えるかもしれせん。もしくは思い切って大胆な構造改革や、未来の柱となりうる新規事業を、時間をかけてでも開発して育てていこうという考え方もあるでしょう。

 いずれにせよ、企業がいろいろな考え、バックグラウンドを持つ多様なメンバーとの協働の場である以上、どこかで意識の統一をはかる必要があります。できれば、それぞれの想いが根底では一つにまとまっていればいるほど、大きな力となりえるでしょう。

 やはり、そこで重要になるのがパーパス(大義)であると思います。なぜならパーパスはまさに原点回帰であり、本質の追究であり、構造改革の際の基準となり、社会課題に挑むという挑戦につながるものだからです。

 しかし現実的には、ただパーパスだけを振りかざしても、あるいは額縁に入れて社内に飾っても、残念ながらそれだけでは意思統一には至らないことがよくあります。パーパスが機能するには、まず企業のトップが明確にパーパスを支持すること、そして個々のメンバーが危機感や各自の想いを共有できていることが重要なのだと思います。

 みらい製菓の場合は既に社長が自ら、自分の想いを共有しはじめています。これに加え、これからボトムアップで、新規事業開発チームが周りを巻き込んでいくことが求められていくでしょう。

 周りを巻き込むために何をしていくのかということについては様々な試みがありえますが、危機感や課題感の共有でWHY(なぜやるか)についての目線を合わせることや、WHO(誰の為にやるか)を共通認識にするために、一緒にお客さんの声を聴いたりしながら、ミーティングだけでなく一緒に考えていくワークショップをやってみる、というような試みは有効であることが多いように思います。

 パーパスは自分たちがどこにいて、そしてどこに行きたいか(行くべきか)という指針になります。この指針を作り上げ、磨き上げていくプロセスに、どうやって周りの人たちを巻きこみ傍観者から当事者にできるかが、今問われているのです。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/05/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36152

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