Datoramaがもたらしたデータの民主化と意識変革
具体的成果を上げているDatorama導入だが、こうした成果以上の見えない大きな変化があったと大内氏は指摘する。
前述したようにソニーマーケティングでは、自社所有のデータ活用・可視化は5年前から進められ、すでに実現している。しかし、マーケティング、特に広告分野は遅れていた。広告データは広告代理店が所有しており、代理店がレポート作成し、広告主であるソニーに報告するという状況だった。しかし、Datorama導入を機に、広告代理店が持つデータもソニー側が扱うということになった。
これが社内の意識を大きく変えることになった。
「現在、データ所有を巡る状況は変化しています。広告代理店が持つもの、広告主が持つもの、といった境界は曖昧になってきており、データの所有権でどちらが上だ下だという話はもうありません。それより、データを共有し、同じデータを見て、広告主の課題解決を一緒にしていくべき時代です。この変化をDatoramaはわかりやすく社内に示してくれた。その意義は大変深いものです」と大内氏は強調する。
Datoramaのマーケティングに関連する成果は、導入当初の想定通りだったが、この社内の意識変化は「想定外だった」と大内氏は言う。
具体的成果と意識変化という見えるものと見えないものの変化を通じて、今、Datoramaの活用はさらに拡大しようとしている。
「ようやくツールが整い、マーケティングのデジタル化、DXは本格化します。デジタルガバナンス、指標の定義統一、可視化が一気に実現する環境が整備されました」と大内氏。橋本氏も「プラットフォームが揃い、いよいよという段階です」と話す。
利用部署の拡大、経営層の活用からグローバル展開まで視野に入れた今後の展望
マーケティングのデジタル化が佳境を迎えようとする中、Datoramaも含めた今後の展望についてはどう考えているのだろうか?
「利用部門の拡大をしています」と橋本氏は切り出した。実際の売上を持つビジネスプランニング部門が利用を開始すると言う。同部門もデータとツールの散在に悩まされており、Datoramaでマーケティングから売上まで全て一気通貫で俯瞰できることを喜んでいるという。彼らもTableau CRMやTableauは見ており、数字を見る習慣はあるが、マーケティングの広告データを確認はしていなかった。
売上と、マーケティングコミュニケーション。二つの部署のデータが一つのプラットフォームへと統合されることで、トップマネジメントから現場まで全員が現状把握できるようになり各部署の判断のスピードが上がります。「ダッシュボードは経営陣から現場まで欠かせないツールになるでしょう」と大内氏。
その時、Datoramaは同社の欠かせない経営基盤の一つになっているだろう。さらに、Datorama導入による世界観・DXの世界への展開を視野に入れて、マーケティングのデジタル化をさらに強力に推進していく考えだ。ソニーマーケティングのこれからの歩みから目が離せない。