UGC増とサービス認知拡大の一挙両得に
いいたか:UGCが生まれやすいコンテンツですし、サービス自体が意外とありそうでなかったものですよね。
澤田:類似のサービスは他社も出してはいたのですが、いずれもあまり知られていなかったですね。当時UGCを増やすために様々な体験をフックにした企画をしようと考えていたのですが、バーチャル試着の場合、SNSと相性が良かっただけでなく、サービスの認知拡大にもつながったので、メリットが多かったです。
私にはサービスを開発する役割もあったため、「ユーザー接点の中でどのような体験を作るか」という領域まで入り込めていました。多くの企業では、担当する部門が分断されているかと思います。私の場合、サービスの企画から「後々UGCが生まれやすいか」までを一貫して考えられたのも、Twitterにおける盛り上がりを実現できたことの大きな一因かと考えています。
福岡:その他、カンバセーショナルカードを使った投稿では、コラボ商品を複数見せて「あなたはどれが好きですか」という問いかけをする投稿も行っていましたね。これに対するUGCでは多いときだと3,500件ほど集まっており、積極的に参加してくれている印象でした。
過去最大数の画像つきUGCを生んだ企画
いいたか:キャンペーンではどのようなメッセージで訴求しましたか?
澤田:ギフトシーズンに、ユーザーがメガネを誰かにプレゼントしたくなるような企画です。2020年冬には「#JINSサンタ」というハッシュタグを使った、フォロー&リツイートキャンペーンを実施しました。
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— JINS (@JINS_PR) December 13, 2020
今年は #JINSサンタ がやってくる
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欲しいメガネをツイートして8800円分のメガネ券プレゼントのチャンス
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澤田:狙いはフォロワーを増やすことよりも、JINSのブランドのアテンションを作り、接触回数を増やしてブランドへの好意度と選好性を高めていくこと。そしてコンテンツマーケティング的な発想で、あまり根付いていない「メガネをプレゼントするという文化」を広め、ギフトにメガネという選択肢を連想させられるようにすることです。
いいたか:プレゼントの文化を作る、という狙いはおもしろいですね。言われてみると、意外としたことがなかったです。
澤田:本来、メガネそのものを人に贈るって結構ハードルが高いですよね。でも今回のキャンペーンのようにデジタルギフト券を贈るのであれば、ハードルが下げられるなと思っていました。デジタル戦略の連携を分断せずに考えられたからだと思いますね。
いいたか:確かにギフト券だったらプレゼントの相手自身が欲しい物を買えますね。新しい文化を作るのと同時に、「メガネのプレゼントならJINS」という想起や指名検索につなげられるのもメリットかと思います。
澤田:結果として、JINSサンタでは予想の数倍のUGCが得られました。応募者数としては4,000名弱、リプライも含めると5,000件以上の投稿がありました。画像投稿でUGCがこれほど出たことは過去になかったので、大きな成功でしたね。
ユーザーから実際にギフトについての投稿も見られましたし、「家族がずっと同じメガネをつけていて買い換えるきっかけになった」といった具体的なUGCを得られたことで、その後のメッセージングへの知見も得られました。これを経てバレンタイン、ホワイトデーにも企画を実施しました。バレンタインのキャンペーンでは参加者数4,433件、Twitterのトレンド3位に入るという結果が出ています。
いいたか:普通のフォロー&リツイートキャンペーンと違うのは、ユーザーへのプレゼントで終わりではないことですね。
贈って終わりではUGCの発露が難しいのですが、今回の設計ではギフト券を貰うだけでなく、それを使って買いに行くという次の行動があります。そのため「JINSサンタをきっかけにメガネを買ったよ」と言わなくても、「JINSでメガネを買ったよ」と言ってもらえる可能性はかなり高まる。
ブランドから貰った物で買いに行くという気持ちはまず承認欲求として嬉しいですし、さらに買いに行って手に取って、嬉しくなる。この二段構えがこのキャンペーン設計のポイントですね。
