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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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イベントレポート

これまでの延長線で考えていたら勝ち残れない、トップマーケターたちが語る「いま必要な変化」

「じゃあ、いま何ができる?」で考える

米増:ニーズの変化が大きかったですね。成田さんもマスクについて触れていましたが、物理的に顔を覆うので、マスクで隠れてしまい、また色移りするリップのニーズは減少しました。どうしても、マスクから出ている部分=アイメイクに需要が移る。

 一方、レブロンの強みはカラーです。米国ブランドなのでアイ製品はやはり、国内ブランドに比べると弱い。その分、国内ブランドにないカラーの豊富さや、組み合わせを提案してきました。

 そのため、変化するニーズの中で、2020年の後半から「カラーエキスパートのアイシャドウ」としてアイ製品を打ち出す決断をしました。「攻め系のアイシャドウ」として、自粛ムードの中でもメイクを楽しみたいよねというエモーションを喚起しています。

攻め系として打ち出された「レブロン ソー フィアス! プリズマティック パレット」
攻め系として打ち出された「レブロン ソー フィアス! プリズマティック パレット」

高橋:リップはどのような対策を?

米増:リップでは早い段階でケアを押していくことを決め、「レブロン キス シュガー スクラブ」という商品一点にフォーカスしました。こちらでは、日本ローカルで初めてコラボレーションも実施しました。

 映画『トムとジェリー』のイラストがパッケージについた商品なのですが、実は、これまでパッケージに手を加えることは一切許されてきませんでした。初めてのことです。これが実現できたことも、社会の変化によるものかもしれません。

高橋:化粧品の場合はコスメ売り場でも変化があったと思います。そのあたりはいかがですか?

米増:テスター撤去、タッチアップができないなど、環境として大きな変化がありました。そこで、ほぼすべての商品のカラーラインナップをwebサイトにまとめ、色を一覧で見られるようにして、そのQRコードを店頭の什器に貼ることでした。これを極めて短時間で実施しました。

 化粧品はお客様に「自分に合った色だ」と思ってもらえないと購入されません。いかに色味をリアルに感じ、メイクしたときをイメージしてもらえるかが重要です。

 実際に試せないなら、一番良いのはバーチャルのメーキャップアプリだとは思います。しかし、開発に時間が必要ですし、弊社の場合は本国の許可が必要です。また、撮影もグローバルで実施する必要があるので難しい。

 「じゃあ、いま何ができる?」を考えてとった行動でした。

走りながら顧客を知り、古いものは捨てる

高橋:では、この変化の中でマーケターとして重要視したことは何でしょうか?

小室:柔軟性ですね。世の中が不安定なので、顧客の考えもこれまでとは変化してきている。でも、それを知ってから行動していたら間に合いません。

 走りながら顧客を理解し、わかったことがあれば方向性を変える。そのような柔軟性が重要だと感じます。一度作った型を維持したい気持ちもありますが、勇気をもって捨てる。これが大切ですね。

高橋:KFCには多くの店舗があります。そこで柔軟性を出すのは大変ではないですか?

小室:社内で早期に危機対策のチームを作り、エリアごとに異なる状況に合わせ、オペレーションやCS、マーケティングチームなどが常に連携しながら素早く動けるようにしていました。

高橋:成田さんはいかがですか?

成田:お客様起点での新たなマーケットの創出ですね。お客様起点は常に重要視していますが、コロナ禍では特に重要だったと感じます。商品起点で同じことを言っていると、一番安いものが選ばれてしまいます。「どれが貴方のためにいいか」を伝える必要がある。

 弊社では2021年に「シック史上最高峰モデル」をコンセプトに日本発のフラッグシップモデル「極KIWAMI」という商品を送り出しました。機能面に加えて、漆器の黒に近づけるように細部までにこだわり、深く艶のあるブラックを採用しています。パッケージもカミソリのホルダー同様に「大人のちょっといいもの」をイメージしたデザインに仕上がっているのではないでしょうか。結果的にシェア※20%のヒット商品になったので、戦略は正しかったと思います。
※インテージSRI ウェットシェービング 男性用ホルダー内 金額シェア(2021年5月17日週)

イメージキャラクターには本田翼さんを起用
イメージキャラクターには本田翼さんを起用

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ゲーム・チェンジャーでないと勝ち残れない

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/36445

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