ゲーム・チェンジャーでないと勝ち残れない
米増:ゲーム・チェンジャーであることです。マーケターの必須条件であり、目指すべきポリシーだと思っていますが、今の状況では特に重要だと感じます。
現在、ニーズが限定されています。限られた市場ではこれまでの戦略の延長線上だったり、ちょっと良くしただけでは勝ち残れない。これまでよりはるかに良いもの、新しいものを提供していかないといけません。
特に弊社の場合は商品開発のスパンが長く、施策もグローバルの承認を取る必要があり、実施までに時間を要します。だからこそ、大きくギアを変える戦略をとる必要があります。
高橋:戦略は何に基づいて考えているのでしょう?
米増:これまでは昨年対比の数字を見ていましたが、今は昨月対比を見ています。また、競合や店舗データも勘案して、いかにシェアを回復するかを考えています。ただ、現状はある程度読めています。分析も見た上で、いかに発想をブレイクしていくか。ジャンプアップする思考力が必要だと感じていますね。
リーダーが考える「今、マーケターに求められるもの」
高橋:最後に、この状況でマーケターに求められることは何だとお考えですか?
小室:失敗から原因の仮説を立てて実行に移せる行動力です。弊社では年間30~40のプロモーションを実施します。当然、全部が大成功とはいきません。失敗から次はどう変えていくか、自ら前向きに考え進める。そういう人が弊社内でも、業界でも成功すると思います。
高橋:どうしたら、そのような力は身につくと思いますか?
小室:自分のビジネス領域外の数字や記事を読んで、「なぜ」を考えたり、「自分だったらこうする」と考える癖をつけることでしょうか。自分のフィールドでは過去の経験もあるので、自分に関係のないトピックでやるほうが良いです。
成田:私は前向きなマインドセットですね。米増さんの言うとおり、過去の延長線上でのみ戦うのは非常に難しいと感じています。
シック・ジャパンはシェービングの会社だと思われていますが、グローバルで見るとスキンケアブランドなども扱っています。日本でもトータルパーソナルケアカンパニーに成長できるかが非常に重要です。
これを実施するのは大変なことです。だからこそ過去にとらわれることなく、前向きに新しいことを考えられることが大切だと思います。
米増:セルフマネージメントです。弊社でもテレワークが働き方として定着してきました。物理的に距離があるので、仕事が与えられるのを待って実施するだけでなく、自分自身で仕事の内容を考えて業務を遂行できることが求められます。
高橋:課題をビジネスに落とし込み、自分で解決する力ですね。これはどのように身につけていけば良いでしょう?
米増:課題点を上げることは比較的容易です。誰でも弱みや問題の指摘はできる。「じゃあどうするの?」を考えることが大切ですね。
答えを自分で見つけ出せる人材が増えるほど、ゲームチェンジできる可能性が高まります。マーケティングチームは、そんな人材の集合体でありたいと思います。