成果に結びつく「トピック選定」3つの条件
――「トピッククラスター戦略」に基づき、読み手に価値を提供できるコンテンツを網羅的に提供していったことが成果につながったのですね。ではそのトピックはどのように選ばれているのでしょうか。
水落:カスタマーサクセスチームに協力をあおいで顧客にヒアリングしたり、営業担当に見込み客の商談の内容を聞いたりと、顧客と見込み客双方の課題をヒアリングして決めるようにしています。
見込み客の方々は自社の課題が明確になっていない場合も多いです。そのため見込み客には現在何に悩み、どのようなトピックについて調べているのかを聞いていくことで潜在的なニーズを探り、どのようなアプローチをするべきかのヒントを探っていきます。
一方、自社の課題を明確に認識し、その解決策としてHubSpotを導入している顧客には、導入前にかかえていた課題や、なぜHubSpotに決めたのかを聞いていくことで、同じような状況に置かれている潜在顧客に提示する解決策のヒントを探っていきます。
――ヒアリングによって選んだトピックにはどんなものがあるのでしょうか?
水落:たとえば、昨年はコロナの影響でオンラインシフトせざるを得ない企業がかなり増え、同時にオンライン会議ツールとしてZoomが話題になりましたよね。実際、お客様からも「Zoomの使い方を知りたい」との声を多くいただいていました。
必ずしもHubSpotのビジネスに直結するトピックではないのですが、コロナ禍以前から当社ではZoomを活用していたので、その知見が役立てられ、さらにビジネスを支援するというブログのミッションにも沿っていることから「Zoom」トピックを選定。ダウンロードの方法から使い方、ウェビナー機能の違いなどをシンプルに紹介する記事をアップしていきました。
また別の例では、「インサイドセールス」の立ち上げに悩んでいる声と、それに対しHubSpotが有効だという声を得たことからアイデアをもらい、インサイドセールスをトピックに選定しました。一口にインサイドセールスと言っても、そもそもインサイドセールスについてよく分かっていない方もいれば、インサイドセールスの組織立ち上げの手順で迷われている方、自社に適したツールを探している方など様々ですので、各フェーズの課題解決に役立つノウハウを、自社他社のものに関係なく役立つツールとあわせて紹介をしたこともあります。
――「顧客・見込み客の課題」をヒアリングし、それを解決できるトピックを選定していくのですね。
水落:「1、HubSpotの見込み客・顧客へのヒアリング」に加えて「2、自社が強みを発揮できる場所」「3、市場のトレンド」、この3つの条件が揃うトピックを選ぶようにしています。
3つすべて大切ですが、最も大事なのは見込み客・顧客へのヒアリングで、トピック選びはここから始めるべきと考えています。オウンドメディアを運営する上でネタの枯渇に悩むのはよく聞く話ですが、お客様に話を聞きにいけば、その心配が杞憂なほどネタは沢山出ますし、上記3つの条件を満たす内容が出てきやすいんですよね。
やりがちなのは、市場トレンドからトピックを考えることだと思いますが、それだと他社と同じような内容になってしまう可能性が高い。自社の強みを生かせるエリアから外れてしまう場合もあります。そのようなリスクを回避するためにも、まずはお客様に話を聞くことからはじめるといいと思います。
お客様の声から求められている情報の見当をつけ企画するやり方は、オウンドメディアに限らず、どのチャネルにも通じるやり方です。
オウンドメディアは目的ではなく手段
――最後に、オウンドメディア活用に今後取り組みたいと考えられている方々に向けてメッセージをお願いします。
水落:これからオウンドメディアの立ち上げを考えている企業についてアドバイスを送るとしたら、本当に手段としてオウンドメディアなのかを疑うところから始めることをお勧めします。
そしてどういうチャネルを選定したとしても、それがお客様のためになっているのか、利己的な施策になっていないかは都度社内で話し合って確認しておくべきでしょう。
私たちはインバウンドの思想をベースに施策を展開していますが、いまだに広告クリエイティブひとつとっても、それがインバウンドなのか社内で議論をしています。正解はないので模索しながら、自分たちのお客様にとって必要なコンテンツを届けていければと思っています。
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