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イベントレポート

デジタル時代にも近道はない。YOASOBI、少年ジャンプ+の仕掛け人が語るヒットの裏側

時代の変遷を感じる、クリエイターの価値観の変化

島袋:さて、続いてのテーマは「クリエイターのいま」です。誰でも自由に自分のクリエイティブを世の中に発信できるようになった今、企業とクリエイターの関係性はどのように変化していますか?

山本:昔はテレビに出て有名になって……というモデルケースがありましたが、今は目指すところが人によって多様化しています。個人で有名になることもできるようになっている一方で、広く世界中に知ってほしいというような規模感を目指すのであれば、自分たちだけではできないこともたくさん出てくるはずです。そういう時に我々がクリエイターの力になれるのではと思います。

島袋:漫画家さんもロールモデルは多種多様になっていますか?

細野:昔は「週刊少年ジャンプに投稿して、100万部の漫画を描くんだ!」という方が多かったですが、今は趣味で漫画を描いていて、Twitterでいいねをもらえるだけで嬉しいという人もいます。描き手の思考や目指すところは多様化していますね。

 以前、我々が運営している漫画投稿サイト「ジャンプルーキー」でアンケートを取ったことがあるのですが、「自分の作品がたくさんの人に見られること」を投稿の一番の目的と回答した人が最も多かったんです。作家によって目指すところは様々で良いのではないかと思っています。

デジタル時代にも近道はない。ヒットを生み出す方法論

島袋:最後はこのセッションのメインテーマ「ヒットの方程式はある?」です。ずばり、この方程式の有り無しで言うとどうなのでしょうか? 私自身の考えとしては、方程式は“ない”と思っていますが、タイミングのセオリーはやはりあって、空気を読む力のようなものが必要なのではないかと思っているのですが、細野さんはいかがですか?

細野:さすがに「方程式あります!」とは言えないんですが(笑)、ヒットの方法論みたいなものはあると思います。もともと少年ジャンプ+は、“紙のジャンプを超える”というコンセプトで始めています。紙の週刊少年ジャンプが持っている“ヒットにつながる方法論”を、我々もデジタルで発明したいと考えてやってきました。

 ヒットの方法論にたどり着くためにまず必要なのは、数多くチャレンジすることだと思っています。たとえば、少年ジャンプ+では読み切り型の短編漫画を年に約300本公開しており、新人作家にチャレンジの機会を提供しています。あとは、ここでチャレンジした方たちをどう磨いていくかですね。「たくさんチャレンジして、それを磨いていく」ということが大事だと思います。

山本:ことYOASOBIに関して言うと、本当に地道に当たり前のことをただやり続ける。これしかありませんでした。たとえば、チャートで上位になったらSNSでお知らせして、ちゃんとファン全員が知っている状態にする。応援してくれるみなさんが横にいる人に良さを伝えていくことでしか広がっていかないんだな、ということをすごく実感したので、当たり前のことを地道にやることが本当に大事だと思います。

屋代:私は、ファンの方に好いてもらう前に、スタッフも含めまわりの人間に好いてもらうことができなければ、ステージとフロア、テレビの画面という境界線の向こう側で愛してもらうことはできないと思います。

 これは社内でも同じで、ビジネスとしてやるのでどうしても関連セクションの協力が必要になることが多々出てきます。今、ありがたいことに、関連セクションがYOASOBIのプロジェクトを自分事として主体的に取り組んでもらえる空気感が作れているんですね。ヒットの方程式とは少し違うかもしれませんが、こうした協力関係が有るのと無いのとでは、世の中にものを投下した時の広がり方だったり、伝わり方の熱量が全然違ってくるので、周りの人に好いてもらう努力は僕らもしなければいけないと思っています。

島袋:なるほど、インナーブランディングですね。社内の人たちをいかに巻き込むかというところからスタートするというのも当たり前のことですが、実はできていないケースが多いのかもしれないですね。最後にみなさんから一言ずつメッセージをいただけますか?

細野:実際に少年ジャンプ+で漫画を読んでいただくと、盛り上がりだったり面白さを一番わかっていただけると思います。オリジナル連載作品はアプリダウンロード後は、1度は最新話まで全部無料で読めますので、今話題になっている『怪獣8号』と『SPY×FAMILY』をぜひチェックしてみてください!

屋代:YORSOBIは小説を音楽にするという形でいろんな方とコラボレーションさせていただいているので、これからの企画も楽しみにしていただければと思いつつ……、ぜひジャンプさんともなにかご一緒できたら嬉しいです。虎視眈々と狙っていますので!

細野:光栄です! こちらこそぜひよろしくお願いします。

山本:YOASOBIがほかのアーティストと違うところは、原作があってそれを音楽にしているというところで、原作があるからこそ様々なメディアミックスの可能性がありますし、まだまだ表現の幅も広げていけると思っています。これからも色々な方々とプロジェクトをご一緒できたら嬉しいですし、ジャンプさんともぜひ! あと、『怪獣8号』と『SPY×FAMILY』は本当におもしろいのでみなさん読んでみてください(笑)。

細野:ありがとうございます!

島袋:ではみなさん、本日はありがとうございました!

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/36641

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