ラグジュアリーな“特別感”を提供する体験型のマーケティング
MZ:今回のキャンペーンではターゲットを広く設定されていますが、ラグジュアリーブランドとして“高級感”や“特別感”をどのように醸成されていますか?
遠藤:ブランドアクティベーション、つまり体験型のマーケティング施策を通して、お客様のロイヤリティの醸成を図っています。
たとえば、先日発表した、2021年秋に国内の正式発表を予定している電気自動車「新型BMW iX」の初期生産モデル「新型BMW iX ローンチ・エディション」は、限られた方にお披露目をしています。お台場にあるショールーム「BMW東京ベイ」の中にポップアップショールームを作り、実際にBMW iXに触れていただける空間をご用意しているのですが、色々な技術を駆使し、ポップアップの中が外から見られないようにしました。限られた方のみ、魅惑的な空間でBMW iXを体験できるということで、特別感をご提供できていると思います。BMW iXのお披露目に限らず、白金や青山など洗練された街で密かに特別車を発表するなど、体験型のマーケティングにはこれからも力を入れていきます。
また、40周年のキャンペーンにおいては、BMWの車のオーナー様へ特別なアニメーション動画を配信する予定です。BMWの車は、ディスプレイを通してブランドとつながっており、直接対話できる機能があります。これを利用し、オーナー様にサプライズで10~15秒の動画を配信するのです。走る歓び、ブランドのストーリーを感じていただけたら嬉しいですね。
MZ:素敵なサプライズですね。BMWファンはたまらないのではないでしょうか。
遠藤:ありがとうございます。加えて、“体験”においては、お客様との直接の対話が生まれる全国のディーラーネットワークも大切な接点です。今回のキャンペーンでも、ディーラーのみなさまに40周年のバッジをお渡しして、我々の思いや考えをお伝えしました。ディーラーのみなさまとも日々会話をすることで、“遠いドイツの会社”ではなく、身近なブランドとして捉えていただき、ショールームで人が行うコミュニケーションのところまでマーケティング施策と一貫して動けるようにしています。
“対話”を重視する理由 ブランドとお客様の価値観をつなげるために
MZ:まだまだキャンペーンは続いていきます。これからの展開が楽しみです。
遠藤:先ほどお話しした、フィナーレのイベントにはぜひ期待していただきたいです。エンターテイメントの要素を盛り込んだBMWの世界を広く開放し、みなさんとキャンペーンのフィナーレを楽しめればと考えています。
MZ:今年の4月にBMWにジョインされたということで、これから様々なことに取り組まれていくと思いますが、マーケティングコミュニケーション全体において掲げてらっしゃる目標をお聞かせください。
遠藤:絶対にやらなければいけないこととして、BMWがお客様にお届けできる価値がお客様が望んでいるベネフィットとなるようにする、ブランドとお客様の価値観をつなげるということがあります。「我々が提供するものにお客様はどんな価値を感じてくださるだろうか?」と、常にお客様の視点に立ってベネフィットを生み出し、それをマーケティングコミュニケーションに落とし込んでいくことが求められます。
そのためには、お客様と“対話する”ということが非常に重要です。ブランドが考えていること、お客様が考えていることを相互に伝え合い対話をしていくというキャンペーンの形は、今回に限らずこれからも続けていきます。
そして、BMWはドイツで100年以上愛されてきた歴史があり、ブランドの理念に基づき、サステナビリティのパイオニアとして様々な取り組みをしています。これを日本のマーケットにきちんと伝えていくことがBMWジャパンの責任だと思いますので、その責任をしっかり果たしていきたいと思います。