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N=1の声を商品開発に活かす。花王「ファンテックLab&Biz」が体験型店舗b8taに出品した理由

  花王のオープンイノベーション・プラットフォーム組織「ファンテックLab&Biz (ラボ&ビズ)」では、個の深い悩みに焦点をあてて満足度を高める「N=1起点のサービス開発」を開始。第一弾として、2021年4月12日から最大4ヵ月間販売予定の楽天市場に新設された「新商品コレクション」を通じ、消費者と一緒に商品を創っていく「クリエイターズ商品」として、へそごま除去パック『SPOT JELLY』、足用石けん『ARGINISTA』の数量限定販売を実施した。あわせて4月12日から5月31日まで体験型店舗b8ta(ベータ)にも出品し、楽天市場のレビュー機能やb8taで取得した情報などから、消費者のリアルな声を収集し、本発売を目指していくという。花王・ファンテックLab&Bizの佐々並氏と、b8ta COOの羽田氏に今回の取り組みとその成果について聞く。

日本上陸から1年、進化を続ける体験型ストア「b8ta」

――まずお二人のご担当業務からお伺いします。羽田さんから、お聞かせいただけますか?

羽田:b8ta Japanの羽田です。私は今年3月にb8taにジョインし、COO(最高執行責任者)として、CEOの北川と日本事業の全般を見ています。

 現在、特に注力していることは大きく3つ。1つ目はパートナー企業の誘致で、より多くの企業様にb8taに出品することの価値をお伝えしています。2つ目は「パートナーサクセス」と呼んでいるのですが、出品いただいた企業様に、b8taで取得できるデータを通じてフィードバックをしっかりとお返しすることでビジネス成果に貢献し、満足度の向上を図っています。

 3つ目は店舗の運営です。店舗に足を運んでくださったお客様により良い発見と体験をしていただくためには何が必要か、出品企業様により深いインサイトのあるフィードバックをお返しするためにはどうすれば良いのかといったことを考えながら、店舗運営の改善を行っています。

b8ta Japan COO 羽田氏
b8ta Japan COO 羽田氏

――体験型ストア「b8ta」が日本に上陸してから約1年が経とうとしていますが、日本の消費者からの反響や、出品企業の利用状況などに変化はありますか?(日本上陸時にCEO北川氏を取材した記事はこちら:体験を売るストア「b8ta」が日本上陸 消費者データの見える化でメーカーの抱える課題を解決へ

羽田:まずお客様の観点では、オープン当初はシリコンバレーからの上陸ということで、比較的情報感度が高く、ガジェット好きの方が多かったのですが、メディアでの露出も増えたことで認知が広まり、現在ではファミリーやカップルで訪れてくださる方も多いですね。

 b8taには、大企業からスタートアップまで多くの企業様が出品くださっており、取り扱うジャンルもガジェットから家電、アパレル、コスメと幅広いのが特徴で、これはオープン当初から変わっていません。

 一方、この1年で、b8ta Japanとしては様々な進化を遂げました。たとえば、半個室の通常より大きな区画である「エクスペリエンスルーム」の活用の幅を広げました。今までは1ブランドに貸し出して展開いただいていたのですが、今は1つのテーマに沿って様々なブランドに出品いただきイベントを実施しています。実際に5月にはSDGsをテーマとした展示・イベントを行いました。

 またコロナ禍で東京に足を運べない状況が生まれたため、地方へのポップアップ進出や、Instagramを使ったライブ配信が行える環境も整えつつあります。オフラインの店舗を起点に、オンラインでの打ち手もどんどん増やしているところです。

個の深い悩みに焦点をあてた“N=1起点”の商品開発

――続いて佐々並さん、お願いします。

佐々並:花王のオープンイノベーション・プラットフォーム組織「ファンテックLab&Biz (ラボ&ビズ)」に所属している佐々並です。ファンテックLab&Bizは、花王の新規事業プロジェクトから端を発したオープンイノベーション・プラットフォーム組織で、社内外問わず多くの方からアイデアや技術を公募し、それらを結び付けるハブとなることで、新しいワクワクを作り出すことを目指しています。その取り組みの一貫として、「N=1起点のサービス開発」を行っています。

花王 ライフケア事業部門 ソリューションビジネス開発部 FUNTECH Lab & Biz 佐々並氏
花王 ライフケア事業部門 ソリューションビジネス開発部 FUNTECH Lab&Biz 佐々並氏

――なぜN=1起点のサービス開発を?

佐々並:花王では、以前より「スモールマス」と呼んでいる、既存のマスより小さいながらも一定の市場規模を持つ消費者グループが持つ悩みにお応えする商品の提供を目指してきました。ファンテックLab&Bizではそこからもう一歩進み、規模は小さくとも“より深い個の悩み”に寄り添っていきたいという想いから、N=1起点でのサービス開発を行っていくことにしました。

 ただ、個の深い悩みに焦点をあてた商品開発や販売は、マス向けの戦略とは違った難しさがあります。今回のb8taや楽天市場・新商品コレクションへの出品は、N=1起点の商品開発・本発売の実現に向けて実施した取り組みとなります。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企画も担当。最近はSDGsに関する取り組みに注目しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/17 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36788

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