4.クローズドコミュニティの強化
Clubhouseの登場を皮切りに、SNSでよく見かけるようになったクローズドコミュニティ。不特定多数に向けて発信するのではなく、限られた空間で濃密なコミュニケーションができるクローズドコミュニティの特性は、今後のSNS全体のトレンドにもなってくると考えられる。
実際、Instagramでもその風潮はプラットフォーム側のアップデートを通して進められている。従来ストーリーを閲覧できるユーザーを制限する「親しい友達機能」が多用されていたほか、2021年は新たに以下3つのクローズド空間をリリースした。
・1つの話題に対して、複数人でストーリーを共同投稿することが可能となったコラボ機能(2021年5月~)
・2人のユーザー間で、リール(短尺動画機能)のリミックスができるRemix on Reels (2021年4月~)
・4人で同時ライブ配信が可能になったLive Rooms のリリース(2021年3月~)



コロナ禍を経て変化しているSNSのユーザー心理
Instagramは、2021年上半期にストーリー、リールズ、ライブ配信のそれぞれでクローズド化への対応を進めていたのだ。
SNSでは気軽に投稿できてしまうからこそ、情報はすべて即時的にオープンになり、一気に飽和してしまう。そこに新型コロナウイルスの影響でオンラインへの接続時間が増え、圧倒的な情報量に疲弊したユーザーが求めているのが、「ここでしか見られない」という情報の限定感や特別感なのかもしれない。
最近のインフルエンサーの投稿を見ていても、#アーカイブ のハッシュタグが付けられた過去の画像をあえて静かに投稿したり、インフルエンサーであるのにもかかわらず非公開アカウントの設定をしたりと、「意図的にバズらせない」ようにしているのが見受けられる。このことからも、自分のファンであるコミュニティだけに届けば良いと考えているインフルエンサーも増えてきていることがわかる。
まさに今後Instagramにおけるマーケティングは、クローズド化が進むからこそ、そのコミュニティ内のKOL(Key Opinion Leader)をしっかり見定めないといけない。フォロワー数や投稿内容での判断は難しく、コミュニティ内での立ち位置やポジションを見定めていく必要がある。こうしたSNSクローズド化に対応した機能も、下半期はニーズが高まってくるのではないだろうか。下半期のInstagramアップデートに、引き続き目が離せない。