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第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

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顧客起点のビジネスはどう実施する?インバウンドの思想を取り入れた成功事例(AD)

2年でSQLを5倍に!転職サイト「type/女の転職type」に学ぶ、インバウンドマーケティング実践

 「いい仕事・いい人生」を企業理念に、 キャリア転職の専門情報サイト「type」「女の転職type」などの運営を行うキャリアデザインセンター。同社では掲載先企業の獲得をミッションに、2019年秋に「HubSpot」を導入。アウトバウンド営業がほぼ100%の状態からマーケティングチームを新設し、インバウンドの手法に基づくマーケティングを実施した結果、SQL(企業からの問い合わせ数)と、そこからの契約数ともに大幅に増えたという。担当者3名に、成果が出るまでの軌跡とマーケティング・営業との連携のコツを尋ねた。

アウトバウンド営業中心の企業がインバウンドマーケティングを始めたわけ

――まずキャリアデザインセンターの事業内容と、みなさまの担当業務について教えてください。

畑:当社は、キャリア転職サイト、転職イベントの運営、人材紹介、人材派遣事業を中心にHRサービスを展開しています。

 中でもキャリア転職の専門情報サイト「type」「女の転職type」は、売上の柱を担っている事業。「type」はエンジニアのキャリア採用、「女の転職type」は女性のキャリア採用の領域に強みを持っています。

畑:私たちが所属する営業戦略室では、営業部門のKPI設計、CRMの自社開発、研修、type、女の転職typeの営業企画、今回お話しするインバウンドマーケティングなど多岐にわたる業務を担っています。

 私は、営業戦略室のメンバーマネジメントをはじめ、インバウンドマーケティングにおいて全体の方針決定や営業部門との連携を図る全体のマネジメント業務を担当しております。

谷川:私は、中途採用に関して情報収集をされている企業向けに情報発信する自社ブログやホワイトペーパー、実際にお問い合わせをいただく際に見ていただくLPなどコンテンツ全般の方針を決定したり、作成業務も行っております。また、HubSpotを活用してメール配信を実施するなど、インバウンドマーケティングの運用を担当しています。活動の方針を決めるために必要なデータの分析も行っています。

紅谷:同じくコンテンツの企画やブログ記事の作成を行っています。また昨年から開始した採用担当者向けのセミナーの企画・運営をメインで担当しています。

――インバウンドマーケティングの取り組みを開始されたのはいつ頃からでしょうか。

キャリアデザインセンター 営業戦略室 畑 幸歩氏
キャリアデザインセンター 営業戦略室 畑 幸歩氏

畑:2019年秋頃から開始しました。

 転職メディア事業では創業当初からずっとアウトバウンド営業が主流でした。私と谷川は営業を経験しているのですが、営業時代はテレアポや飛び込み営業をしていました。インバウンド施策は自社のホームページに問い合わせフォームを設置しているだけの状態でしたね。弊社だけではなく、主要な転職サイトの営業はまだまだアウトバウンドを中心に行っている企業も多いと思います。

 とはいえ、今では誰もがWeb上で欲しい情報を自ら検索して獲得することができる時代です。私たちのお客様である経営者や採用担当者も、採用ノウハウや手法を探すとなればまずネットで検索するという方が増えていました。

 またこの十数年で転職サイトだけでも新しいサービスや機能がたくさん生まれています。採用ツールの選択肢が増えた企業様に自社にとってよい人材を採用するために、弊社が培ってきたノウハウや手法をきちんと伝えていきたいと思いました。そこでアウトバウンド営業に加えて、メールやWebコンテンツを活用したインバウンドマーケティングを強化することになりました。

 コンテンツマーケティングのシステムの導入を検討し、様々なサービスがある中で最終的に選んだのが「HubSpot」でした。

――沢山のツールがある中で、HubSpotを採用された理由は何ですか。

畑:選定の基準は大きく2つあります。「初心者でも使いやすいかどうか、サポートは充実しているか」「営業部門と連携して使えるかどうか」です。

 その点、HubSpotは初心者でもすんなりと使いこなせるわかりやすいUI設計で、ブログやLPなど様々なコンテンツを簡単に作成できるのが良かったですね。わかりやすさだけでなく、マーケティングオートメーション機能を駆使した作業の自動化など様々な機能が充実している点にも魅力を感じました。

 また、よいコンテンツを作っても、営業部門と連携し顧客に最適な提案ができなくてはいけません。その点でHubSpotはCRMを基盤としており、顧客情報やステータスを営業部門と共有しやすく、部門間連携を促進できると感じたのが大きかったですね。

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見込み客にとって有益な情報を自社ブログ内に揃える

――HubSpot導入・活用プロジェクトについて、どのように進めてこられたのかを教えてください。

キャリアデザインセンター 営業戦略室 谷川 未来氏
キャリアデザインセンター 営業戦略室 谷川 未来氏

谷川:最初の1年は、私たちマーケティングチームのメンバーがHubSpotに慣れるところからスタートしました。導入当初は、畑がHubSpotのサポート担当者とともに作成したペルソナとカスタマージャーニーをベースに、ブログ記事やホワイトペーパーを作り、見込み客を増やしていくことから始めました。

 半年かけてコンテンツの拡充を行い、2020年3月頃からはそれらを活用したメールマーケティングも開始。ブログ記事作りにおいてもチームみんなが自主的に勉強し、どういったキーワードで、誰に向けて訴求するのかなどSEOも考慮した施策運用に取り組むようになりました。また記事公開後も効果検証を重ね、人事・採用担当者にとって有益な情報が自社ブログ内に揃う状態を目指していきました。

紅谷:昨年夏から、採用担当者向けのセミナーも開始しました。これは営業部門と協力しながらコンテンツを考えていて、毎回内容を変えながら月1、2回実施しています。集客のためのセミナーページの作成やメール配信、参加者リストの管理からアフターフォローメールまでHubSpotで行っています。

谷川:2020年秋頃からはスコアリングの導入も始めました。顧客の行動やハードデータに対し、求人ニーズの有無や弊社のコアターゲットの条件などをふまえてスコアをつけ、一定以上のスコアに達したものを営業にリード(見込み客)としてつないでいます。

プロジェクトの流れ

2019年10月:インバウンドマーケティングチーム発足、HubSpotを導入

2020年1~3月:マーケティング戦略の立案、ペルソナ、カスタマージャーニーを作成。HubSpotを活用したメールマーケティングを開始

2020年4月:ブログ「エンジニア採用情報お届けブログ by type部」「女性採用情報お届けブログ by 女の転職type部」、ダウンロード用のお役立ち資料の制作をスタート

2020年8月:採用担当者向けのセミナーを開始

2020年10月:Twitterの公式アカウントを開設。SEO対策をはじめる。リードスコアリング開始。コンタクトの活動に対しスコアをつけ、一定以上のスコアに達した見込み客を営業につなぐ施策を実施

2021年5月:Facebookの運用開始

問い合わせが増え、SQLからの契約率は1.8倍に

――インバウンドマーケティングの実践により、どのような成果が出ていますか?

畑:滑り出しの半年でSQL(問い合わせフォームからの問い合わせ)が2倍を超え順調に推移しました。一時コロナの影響は受けましたが、フォームからの問い合わせ数は前年比1.8倍に、直近の6月に関しては前年の3倍、typeに関しては特に好調で、インバウンドマーケティング開始前と比べると5.5倍と数値を伸ばし続けています。またSQLからの契約率も1.8倍と順調です。

谷川:問い合わせページの閲覧数も3倍になりました。資料のダウンロード数、セミナーの参加企業数も毎月過去最高を更新しています。

キャリアデザインセンター 営業戦略室 紅谷 舞氏
キャリアデザインセンター 営業戦略室 紅谷 舞氏

紅谷:営業もセミナーや資料ダウンロードがリレーション構築の上で役立つと言ってくれています。実際セミナー参加者の半数ほどは、営業が直接案内をしてくれて参加してくれた方々です。

 採用ノウハウを提供するセミナーに参加してくださった企業様に、個社別で採用課題に対して改善策をご提案する「個別相談会」という次段階の提案につながるイベントを企画したことで、営業も積極的に案内してくれているようです。

 これまで営業が自ら顧客に働きかけることでしかコミュニケーションを取る手法がなかった状態から、セミナー開催やメルマガ配信などマーケティングチームによる活動が加わったことで、会社として顧客と継続的にコミュニケーションを取れるようになりました。

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営業活動が自然に“顧客視点をともなったもの”へ

――HubSpot導入後は、営業活動にどのような変化があらわれましたか?

畑:HubSpot導入前までは、営業が直接ヒアリングを行わないと、顧客が今どの購買フェーズ段階にいて、どのような動きを行っているかわかりませんでした。

 しかしHubSpotを導入したことによって、コンテンツを通して顧客の動きがわかるようになったため、アクションが取りやすくなったと営業から良い評価をもらっています。

 また、ただ動きを把握できるだけではなく「このテーマのイベントに参加したならこんな採用課題があるのではないか」「この資料をダウンロードしたということはこんな情報を欲しているのではないか」というように、どのコンテンツに反応があったかによって顧客の状況や課題が見えるようになったことも大きいですね。

 電話のタイミングひとつにしても、顧客の状況にあわせて的確にアプローチできることで営業活動の精度が明らかに改善しました。顧客行動を可視化したことで、顧客視点を持った動きが自然とできるようになったようです。

――インバウンド経由でのリードが増えたことで、アウトバウンドの活動の割合は減りましたか?

畑:インバウンド施策の成長スピードが速いためアウトバウンドの比率を追い越しつつありますが、現状はプラスアルファで展開していく領域と考えていますのでアウトバウンドの売上が減ったということはありません。現場の営業からは非常に感謝されています。

 現在、Webでの情報収集が増えていること、コロナ禍でリモートワークが促進されたことで、テレアポでの新規顧客獲得が難しくなってきています。

 一方で、私たちがつないだリードに対する営業のアポ獲得率はテレアポの10倍の実績があり、アポ獲得数の底上げにつながっています。今後、もっと営業がこの施策に慣れてくれば、アポ獲得率が20~30倍になる可能性もあると考えています。

谷川:アポイント獲得の確度が上がり、営業の心理的な負担も減ったようです。

 現在、インバウンドで獲得したリードは、営業サイドから優秀な人たちを選出して作られたチームのメンバーにつないでいる(このリードを「MQL」と呼んでいます)のですが、営業からはそのメンバーになりたいという声が上がっているほどです(笑)。

営業との連携のコツは、意義と成果をきちんと伝えること

――問い合わせ数が大幅に増えただけでなく、そこからの契約率も大きく伸ばされています。これには営業との連携が不可欠だったと思いますが、マーケティング・営業の連携という面で何か意識されたことはありますか?

畑:立ち上げ当初に、インバウンドマーケティングを行う意義を、営業に対してしっかり伝えられたことが大きかったと思いますね。営業部門の幹部、マネージャー、営業メンバー全員を何組かに分けてプレゼンを行い、インバウンドマーケティングへの理解を深めることができたと思います。

 また、先ほどお話ししたMQLを担当する営業たちと、インバウンドで得られた情報を共有しつつ意見交換する会議を月に1回行っています。これをやることでマーケティングの力を実感してもらえるようになり、進んで協力したいと思う空気をつくれたのかもしれません。

 あとは、HubSpot社の手厚いサポートも大きかったと思っています。それまで外部のシステムを使ったことがなかったので、使い方などもまったくわからない状態で始まりましたが、導入時には隔週でミーティングを開いてマーケティングの考え方からシステムの使い方まで細やかに教えてくださったので感謝しています。今でも数ヶ月に一度定例ミーティングで的確なアドバイスをもらっています。

 また、HubSpotのヘルプを使って質問するとカスタマーサポートチームの方たちが迅速に対応してくれるので、そちらもフル活用させていただいていますね。そうした支援体制があったことも、HubSpotを選んで良かった点だと思います。

――最後に、この先どういう形でHubSpotを活用されたいか、今後の展望をお聞かせください。

谷川:これまでのコンテンツは、「新規リードを増やしていく」という目標を掲げて施策を運用してきましたが、新規リードは集まってきたため、今後はワークフロー機能(メール配信などを自動化する機能)などを活用しながらナーチャリング(有望な見込み客への醸成)の強化をしていきたいと考えています。

 プロジェクトを通して顧客が何を求めているかを考え、欲しいタイミングで必要なコンテンツを提供する顧客視点の大事さを学んできましたので、より顧客満足度を高め信頼関係を構築できるよう営業と力をあわせて頑張っていきたいです。

紅谷:同様にコンテンツの観点から言うと、一つひとつのクオリティを高めていきたいと思っています。HubSpotの機能にSEOアドバイスツールがあるので、それを参考にしながら記事をブラッシュアップし、Webコンテンツへの流入を増やしていく取り組みもしていきたいですね。

 また企業側の情報だけでなく、転職者側がどんな動きをしていて、どんな情報を求めているのかといったメーカーである弊社ならではの独自情報も積極的にコンテンツに反映させていければと思います。

畑:今回のプロジェクトが上手くいっていることで、社内から注目が集まり、インバウンドマーケティングに対する期待が高まっていることをひしひし感じています。

 営業幹部からも「問い合わせ数を今の2倍に」との新たな目標をもらいましたので、その達成を最低限のミッションとして、新しい施策の検討・実施をチーム一丸となって行ってまいります。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/01 14:34 https://markezine.jp/article/detail/36906