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DXを体現するアドビが「クリエイティビティ×データ」で切り拓く未来

 「心、おどる、デジタル」。2021年6月に行われたアドビの事業戦略説明会で発表された、日本法人で掲げる新たなビジョンだ。今年4月に代表取締役社長に就任した神谷知信氏は、日本において各プロダクトのサブスクリプション化をけん引し、市場を切り拓いて同社自体のDXを実現してきた。神谷氏が説明会で繰り返し語ったのは「創造力」の重要性だ。「多様化する顧客に振り向いてもらうには、個々に必要な情報を届ける良質なコンテンツが大事。コンテンツと創造性は同義だ」と述べる神谷氏に、現在までの変革とこれからのスコープを聞いた。

※本記事は、2021年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』68号に掲載したものです。

社内の意識を統一する日本オリジナルのビジョン

アドビ株式会社 代表取締役社長 神谷知信(かみや・とものぶ)氏

 1975年埼玉県生まれ。青山学院大学法学部卒。1997年4月、外資系自動車機器メーカー入社。米デルやオーディオ機器メーカーなどに勤務後、2014年10月、アドビ入社。デジタルメディア事業統括本部専務執行役員としてデスクトップからクラウド、サブスクリプション化へとアドビのデジタルトランスフォーメーションをリード。2021年4月から現職。

――6月29日の事業戦略説明会では、アドビが見込む市場規模「Total Addressable Market」を発表され、1年でその予測を大きく拡大していました。特にドキュメントクラウドは伸び率でいうと6割増の規模になっていますね。

 はい。やはり、コロナ禍の影響で各社のDXが進んだことが大きいと捉えています。紙からデジタルへのシフトが、この1年で一気に進みました。

――こちらは全世界のデータとのことですが、MarkeZineで日本企業のDX投資の動向を追っていると、日本でのエクスペリエンスクラウドの市場規模は一定の幅で拡大傾向にあるのでは、と思いました。いかがでしょうか?

 もちろん日本企業のDX投資は増加していると感じていますが、エクスペリエンスクラウド事業は、現状はまだ米国中心ですね。たとえば流通業を見ても、米国では全企業のデジタル投資ランキングでウォルマートがトップ3に入っていますが、日本だと流通業は10位にも入らないでしょう。その点では、やはり米国が先を行っています。

 ただ、肌感では3年ほど遅れて米国の潮流が日本にもやってくるので、日本市場もこれから拡大することは間違いないと見ています。

――アドビ日本法人としての新しいビジョン「心、おどる、デジタル」も発表されました。その説明の際に「解決から創造力へ」と話されていて、創造力や創造性がまさにこれから求められるのだと印象的でした。このビジョンは、日本のメンバーの間で生まれたものなのですか?

 はい。現在、プロダクトのインテグレーションもかなり進んできましたが、これからさらに企業へのDX支援にも自社の事業やプロダクトのDXにもアクセルを踏み込んでいく中で、社員の意識がひとつにならなければ動きが大きくなりません。日本のチームとして目指せるビジョンがあるといい、という意見を私が社長に就任してから多く聞いてきたので、我々の中から新たに作ることにしました。

 本当に数多くのワークショップやインタビューを経て行き着いたのが、この言葉です。私は、とてもアドビらしいビジョンだと思っています。コンテンツを創造するアプリケーションと、それを顧客に届けるプラットフォームがある。ワクワクする価値を顧客に提供できるのがアドビです。このビジョンには皆が賛同し、社内も盛り上がっていますね。

マーケティングやDX推進に必須なクリエイティビティの視点

――企業のマーケティングやDX推進に、創造性という視点をどう取り入れていけばいいとお考えですか?

 そうですね、マーケティング自体がそもそもクリエイティブなものだと思いますが、このデジタル時代には顧客に接触するために「コンテンツ」が非常に重要になります。ユーザーが日々受け取る情報量が極めて多いため、魅力的なコンテンツでなければ振り向いてもらえません。コンテンツとは、ほとんど創造性と同義です。受け手に求められる良質なコンテンツを、データを最大限に活用してより早く正確に届けることが、これからのマーケターにはとても重要になると思います。

――なるほど。これまでの日本のマーケティング業界は、目に見えるデータに偏重して施策が判断されてきたのではと個人的には感じています。クリエイティブの観点から、ユーザーの心をしっかり捉えて動かしていく方向へ、やっと日本でも目が向いてきた実感があります。御社はいち早く2012年のアドビサミットで「クリエイティブ」と「データ」を蝶の羽のように表現され、両方でマーケティングを推進するべきだと提唱していました。ようやくそれが現実に近づき、実行力をともなって進めるようになったのだと。

 ソーシャルの影響が大きいと思いますね。コンテンツに対する生活者のリテラシーや感度が上がり、少し古かったり、「自分には関係ない」と思われてしまったりすると、まったく見向きもされません。人の心を捉えられるかどうかは、わずかな接触の間にどんなクリエイティビティを込められるかにかかっているので、日本のマーケターもその点に注力せざるを得ない状況になっているのではと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/25 06:30 https://markezine.jp/article/detail/37004

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