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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

DXを体現するアドビが「クリエイティビティ×データ」で切り拓く未来

肝は「更新率」の維持きめ細かな情報接触に注力

――時間をかけて、丁寧に説明されていったのですね。

 そうですね。厳しい局面も多かったですが、今となってはそうやって関係を再構築していったパートナーは、我々と同じくアドビプロダクトのビジネスが最高収益になっています。

 以前のパッケージ版は、3年に一度の新製品発売だったので、3年間の空白があったわけですよね。でも今はしっかりユーザーに接して更新率を維持できれば、毎年の積み上げで収益を確保し、かつ先の見通しも立つので、感謝の声をいただいています。もちろん我々も、感謝しています。

 この関係の構築には、体感として4年ほどかかったと思います。アドビが考えるソフトウェアサイクルはおよそ3年なので、サブスク化して丸3年経たないと皆が半信半疑だったところはありました。その山を越えたら、パートナーの方々もサブスクのプロダクトを扱うことに自信を持たれ、時期的に他のベンダーも次々とサブスクに切り替え始めていたので、結果としてサブスク市場の拡大にも寄与したと考えています。

――エンドユーザーの考え方も変わりましたか?

 もちろん、大きく変わりました。サブスクの肝は、更新率の維持です。契約いただいても、使わなくなると価格が見合わないと感じられ、解約につながってしまいます。かつ、我々の製品はビジネス利用でも大手から中小、個人利用ならプロから趣味、学生さんまで顧客層が非常に広いのが特徴です。すると「日常的に使っていただく」と言っても、そのために求められる情報がそれぞれ違ってきます。なので使いやすさの追求はもちろん、それぞれの顧客属性が必要とする情報を細やかに提供するコンテンツ展開を、とても重視しています。

 特に、ビギナーの方々への情報提供はどの層でも大事ですね。サブスクの母数が大きくなるほど、個々のエンドユーザーとの接点が重要になるというのが今の実感です。

成功するDXに欠かせない顧客視点、ビジョン、組織

――最後に、DXの先進企業としてアドバイスをいただければと思います。DX投資が増えているとはいえ、成果が得られない取り組みも見受けられます。どうしたら正しく投資し、企業の独りよがりではないDXを実現できるのでしょうか?

 ここまでの話にも挙がりましたが、徹底した顧客視点、ビジョン、そして組織。これに尽きると思います。顧客への価値や顧客との関係性を見据えた強いビジョンがあった上で、それを実行できる最適な組織を整備する。販売方法などはその次です。

 よく相談を受けるのは「どこから始めていいのかわからない」、そして「やってみたがうまくいかない、ツールを導入したが使えない」といったことです。その点は、重複しますが米国が圧倒的に先んじているので、アドビ製品を活用した成功例を提供するなどして支援しています。

――うまくいく企業に、共通項はあるのでしょうか?

 ひとつは、DX投資にトップの理解があることです。また、DXは全社的な取り組みなので、部門を横断するタスクフォースが組まれることが多いですね。

 仮に我々がいくらユースケースを紹介しても、やはり投資には賭けが必要にもなります。なかなか踏み込めない企業も多く見てきました。なので我々のほうでは、根拠をしっかりと示しながら、現場の方々とも丁寧にすり合わせて共通認識を作り、チームになれることを意識しています。

 何かを変革する際は、まだ見ぬ状態へと変革するわけなので、やはり創造性が大事になります。それはマーケターのいちばんの強みでもあるので、DXにはマーケターの方々の力がとても重要になりますし、これからますますその腕が問われる時代になると思います。ぜひ創造力を羽ばたかせて、日本のより多くの企業に次なるステージへ進んでいただけたらと思いますし、我々がその役に立てるように一層気を引き締めていきたいと考えています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/25 06:30 https://markezine.jp/article/detail/37004

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