ミレニアル世代の家庭:夫側からのプロファイリング
続いて「男性30代既婚・子どもあり」のプロファイリングを眺めていきましょう【図表3、4】。男性も女性と同様に「男性40代既婚・子どもあり」の人を比較対象にします。


【視点1】家族とのつながり
「成長/ステップアップ」や「人より早く出世する」気持ちを重視し、他人に対して「優越感」を感じていたい、「一目置かれたい」という意識が高い。そのため知識や教養を高めることにも積極的で努力も欠かさない。男性も「家族」は重要なキーワードで妻や子どもとの関係や共に過ごす時間を大切にしている。成長&成功意欲も強いため、「給料」を重視しているがワークライフバランスも重視。「家事を行う時間」を大切にしており積極的に家事参加している姿が目に浮かぶ。男性40代は精神的な成長や豊かさを求めており、周囲からは信頼感や責任感など内面性を評価されたいと考えている。「家族と……」という意識はきわめて薄い。
<データからの読み解き>
男性30代は成長意欲に富み、周囲からの評価や承認を求める部分に際立った特徴を感じます。自分は世渡りが上手と言っておきながら、周囲の目を気にしており、女性30代同様の苦労。家族や家庭を重視しており、買い物や掃除などの家事もごく自然に行っている様子が想像されます。
【視点2】消費行動や情報の受発信行動
買い物においては「新しいもの、流行」「高級感」に魅かれ、専門家の意見や口コミを参考にしつつ選択する。パッケージやネーミングにつられてしまうことも。SNSなどから情報を収集し、よいものは人にも勧める。投資に関しては積極的でリスクも恐れず利益を重視。一方、男性40代は「気に入ったものを長く」と考えている。また、投資に関してはリスクを避けた商品選択や運用を意向。
<データからの読み解き>
男性30代は新商品や流行に関する情報をストックしておくために、SNSをはじめ、周囲の人の持ち物などにもアンテナを張り巡らせています。選択時重視点は流行を追うだけではなく「他人からどう映るか」。男性はその気質がより強く「ステータスが感じられる」、さらには「羨ましがられる」という欲求も併せ持つことがポイントです。
ミレニアル世代の夫婦から新しい日常へのヒントを探る
厚労省の「厚生労働白書(平成30年)」などを紐解くと、専業主婦の世帯は約33%という結果です。2000年頃は約50%でしたが1995年頃を境に専業主婦と共働きの割合が反転し、現在では共働きが当たり前となりました。20〜40代に区切ると専業主婦は25%、4人に3人は働いていることになります。
そうした変化に呼応して、ミレニアル世代は成長してきました。夫や妻という役割や古きイメージに固執することなく、ともに働き、家事・育児も一緒に行う。できることをできるほうがという価値観の浸透です。
プロファイリングの結果からミレニアル世代の夫婦や家庭を俯瞰して感じるのは、「家族」というものをとても大切な心の拠り所として考えているという点です。コロナ禍で私たちの暮らしが大きく変化する中、ミレニアル世代が形作る暮らしは随分前から、妻や夫、さらには子どもの考えや生き方を尊重し、各人が最適な役割を果たしてきたのかもしれません。そこには「夫」も「妻」も古臭い記号として映っているのではないでしょうか。
先取り感のある彼、彼女らの人となりと日常を眺めることで、Afterコロナにおけるマーケティングのヒントとなりましたら幸いです。
商品・サービスの購入・利用経験やメディア接触状況をはじめ、生活者(消費者)の行動や判断の核となる生活意識・価値観など約1万5,000項目に及ぶデータを連携させて、立体的で細密なターゲットのプロファイリングを描写するサービス。ファクトデータに裏づけられた鮮明なターゲット像を携えながら、商品・サービス開発からコミュニケーション領域にわたるマーケティングの諸施策の立案と実行を支援する。