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消費者調査からひもとく生活の変化

食事の変化から見えてくる、コロナ禍で顕著になった「考えたくない」消費者心理

なぜメニュー決めが負担なのか

 食事を準備するにあたって負担になることは多くあります。むしろ、実際の食事準備のほうが、時間がかかることもあるでしょう。それなのに、どうしてメニュー決めがここまで負担に思われているのでしょうか。

 その理由を探るため、食事の悩み・困りごとに関して、具体的にどんなことに困っているのかについて自由回答形式で聴取を行いました。そこで得られた回答から、以下のような理由が挙がってきました。

食事の悩み・困りごと
食事の悩み・困りごと

 上記から、「メニュー決め=考えることがたくさんある」と捉えているため、負担に感じているのだと考えられます。実際にメニューを決めるためには、以下のような内容を考える必要があります。

  1. そろえる食材(既に家にある食材を加味しながら考える必要がある)
  2. かかるコスト
  3. 家族の好み
  4. 栄養バランス
  5. メニューのバリエーション(偏ったメニューにばかりにならないようにする)
  6. 品数が複数の場合、他のメニューとのバランス
  7. 調理時間(予定している時間内に作れるメニューか)

 メニューを決めることは一見簡単そうに思えますが、実は多くのことを計算に入れながら考える必要がある、ということがわかります。思った以上に脳への負担がかかる作業なのです。

 また、考えることが面倒で結局は似たようなメニューにしてしまい、マンネリ化するというパターンに陥る人々も、インタビューで多数見受けられました。

 コロナ禍によって、食事の頻度が増えることは、メニューについて考える頻度も増えることにつながります。結果、「考えたくない・考えることに疲れた」人が増えている現状が生まれているのではないかと感じました。

他にもたくさんある「考えたくない」こと

 「考えたくない」と思っているのは、なにも食事に限ったことではありません。以下は、「あなたがここ最近で考えるのが面倒だと思ったこと」について質問した回答を、年代と子どもの有無で分けて表したグラフです。

ここ最近で考えるのが面倒だと思ったこと
ここ最近で考えるのが面倒だと思ったこと

 ここ最近の中で「考えることが面倒だと思ったことはない」と答えた人は25.7%にとどまり、実に約75%の人が日常の何かしらのことで考えることが面倒だと感じていたことがわかります。

 「食事の献立を考える・食事を作る」は食事の準備を担うことが多い子あり女性の20‐40代で70.6%、50‐60代で72.6%が面倒だと感じており、ここからも食事の準備は日常の中で相当な負荷となっていることが読み取れます。

 「仕事の段取り」については男性が多く、子ありの20‐40代では42.9%、子どもがいない20‐40代でも24.1%の人が面倒だと感じていました。また、子ありの20‐40代の女性は食事のメニュー以外にも、「洋服を選ぶ」で29.4%、「調べものや情報収集について」で31.8%、「外出における段取り」で31.8%と割合が高い項目が多く、さまざまな場面で面倒だと思っており、考えていることに疲れている様子がうかがえます。

 具体的にどんなことが面倒に感じたのかについて、自由回答方式でお聞きすると、以下のような声が挙がりました。

具体的に面倒だと感じたこと
具体的に面倒だと感じたこと

 これらはすべて、「決める」ための思考であり、自分で考えて意思決定することに負担を感じている人が多くなっているのではないかといえます。また、コロナ禍で考えることが増えて、一層煩わしさを感じている様子も見て取れます。

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なぜ考えたくない人が増えているのか

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この記事の著者

犬飼江梨子(イヌカイ エリコ)

消費者心理分析専門家 マーケティングリサーチ会社 (株)イー・クオーレ代表取締役
15年間で約1万人の消費者心理を分析。「顧客が真に求めるニーズを見つけ出し、それを解決する方法を考える」ための調査に定評がある。消費者の変化に注目し、新商品開発のための調査や商品リニューアルのための調査を多数実施し、売れる商品を作るため...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/21 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37193

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