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MarkeZine Day 2021 Autumn

なぜ今、パーパスドリブンなのか?ライオン、LIFULLに学ぶ策定とアクション


キーワードが多岐にわたっていたLIFULL

畠山:弊社の中核となる商品・サービスは、スムーズな住まい探しを提供するLIFULL HOME'Sや、空き家を活用したライフスタイルの提案をするLIFULL 地方創生などがあります。

 それを超えた社会の存在意義として「あらゆるLIFEを、FULLに。手つかずの問題でも、視点を変えた発想で豊かさに変える。その結果として、あらゆる人が無限の可能性のなかから自分の生きたいLIFEを実現できる社会へ。」というものを定めております。

 弊社は創業当時より「利他主義」という社是と共に、経営理念として「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」を掲げています。

 具体的には「公益志本主義」と呼んでいる、消費者の皆さまやクライアントさん、パートナー、社員、株主、社会、地球環境、そして自社を含めた八方よしの考え方を持っており、事業活動を展開するなかで社会課題に取り組み、その価値を還元していくことが、持続可能な成長と企業価値向上につながると考えています。

 社名も2017年4月に現在のものに変更しました。人生・暮らしを意味する「LIFE」と、満たす「FULL」を組み合わせた造語です。そのタイミングで「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げました。しかし、コーポレートメッセージはわかるけれど、「LIFULLはどういう会社かわからない」という疑問の声が社外から上がり、課題を感じたため、6ヵ月かけてパーパスの策定に取り組んだ経緯があります。

 パーパスが決まるまでの流れとしては、まず創業当時から培ってきたビジョンや思いを踏まえ、どんな価値を提供できる企業なのかを議論しました。その結果、「あらゆる人が無限の可能性のなかから、自分が生きたいLIFEを実現すること」を弊社の存在意義として定め、それを明文化したものが先にご紹介した文言になります。

 これを中心に位置付け、経営を推進してきました。一方で、社是をはじめとして従業員の行動指針となるガイドライン、提供する価値の品質基準といったように、社内で発信するキーワードが多岐にわたっていったため、体系的な理解が進まない課題が出てきました。

 そこで2020年、新中期経営計画を掲げるタイミングで社内にも理解・共感を得やすいようなかたちで、パーパスの要素を組み込んだ新ステートメントを策定・発表しました。こうして社内への理解・共感を深めることを目指し、実際に社内アンケートを行った結果、社員の80%以上が「会社が目指していることを理解できた」と評価するまでになりました。

パーパス策定に外せないポイント

室:これまでの経験をもとに、パーパスを策定する企業や担当者さんへのアドバイスを伺えればと思いますが、いかがですか?

阿曾:実際にパーパスの明瞭化についてはチームメンバーと共に作っていきましたが、その時に「私たちは何の企業なのか」という独自性を打ち出さないと、パーパスが伝わらないのではと考え、そこを強く意識して進めた記憶があります。自分たちはどういう事業を通じてお客様や社会に貢献していくのかを明確に示すことは、重要なポイントだと思います。

畠山:過去、弊社でパーパスを策定してきた経緯を踏まえますと、パーパスの策定には創業当時からの思いや、どんな価値が提供できるのかという点について、関係部署と議論していくことはもちろん大切です。しかし、パーパスの策定がゴールになるのではなく、最終的に社員がその存在意義をどのように体現していくのか、関連付けのプロセスまで踏まえて考えていくことが大切だと思います。それによって、社員からの理解・共感も得られやすくなるのではないでしょうか。

次のページ
パーパスをアクションに落とし込むための「新4Pモデル」

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/25 18:06 https://markezine.jp/article/detail/37335

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