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なぜ今、パーパスドリブンなのか?ライオン、LIFULLに学ぶ策定とアクション


 近年、SDGsやダイバーシティ&インクルージョンという概念と共に、注目されているのがパーパスドリブンというキーワードだ。かつては企業が存在・活動する根本目的について、「企業の社会的責任」という観点から論じられてきたが、現在はその概念が一歩進み、企業の本業である価値を社会に還元し、貢献していくことが求められている。このパーパスドリブンについて、求められている背景と、パーパス策定、具体的な取り組みについて、博報堂の室健氏、ライオンの阿曾忍氏、LIFULLの畠山大樹氏が語り合った。

CSR→CSV→パーパス、変遷するトレンドの背景

室:ビジネス・経営分野で「パーパスドリブン」「パーパス経営」などパーパスが注目されています。このセッションでは、パーパスが求められている背景と共に、パーパスドリブンの実践企業として、ライオンの阿曾さん、LIFULL(ライフル)の畠山さんの取り組みについて伺っていきたいと思います。

写真左からライオン株式会社 経営企画部 コーポレートブランド戦略室 室長 阿曾 忍氏、株式会社博報堂 クリエイティブコンサルティング局 局長代理 室 健氏、株式会社LIFULL クリエイティブ本部 ブランドユニット 兼 未来デザイン推進ユニット 畠山 大樹氏
写真左からライオン株式会社 経営企画部 コーポレートブランド戦略室 室長 阿曾 忍氏、株式会社博報堂 クリエイティブコンサルティング局 局長代理 室 健氏、株式会社LIFULL クリエイティブ本部 ブランドユニット 兼 未来デザイン推進ユニット 畠山 大樹氏

 最初に私から「なぜ今パーパスが重視されているのか」という点についてお話ししたいと思います。世界的な広告賞「カンヌライオンズ」に見るキーワードの変遷を見ると、古くはCSRから始まり、2007年にはSocial Good、2012年にはCSV、そして2015年ころからブランドパーパスという言葉が出始め、トレンドとなっている現状があります。

 元々は「CSR(corporate social responsibility:企業の社会的責任)=本業以外の社会貢献」が注目されていましたが、「CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)=本業での社会貢献」に注目が移りました。CSVは経済的価値と社会的価値の両立のことを指しますが、現在ではブランドパーパス、つまり顧客に提供しているファンクショナルな価値を超えた社会における存在意義がキーワードになっています。

 では、なぜパーパスが重視されるのでしょうか?これは、「何を(What)」提供しているのか、「どうやって(How)」作っているのかは理解しているけれど、「なぜ(Why)」それを作るのかという社会的な存在意義をわかってない企業が多いためです。そして、Whyがない、または理解していない企業は生き残れないとも言われています。

 これに加えて市場も変化してきました。ミレニアル世代の台頭とソーシャルメディアの影響力、社会の分断といったグローバル規模での生活者の変化が起こり、マーケットにおけるポジショニングだけではなく「ソーシャルポジショニング」が問われる時代に変わり、パーパスの重要性が大きくなっています。既にナイキやマイクロソフト、ボルボなどのグローバルブランドもパーパスと社会課題解決が直結したアクションを展開し、共感を得るようになりました。

 以上を踏まえ、「パーパスをどう規定するか」というテーマに移りたいと思います。最終的なゴールは「社会をもっと豊かで有意義なものにすること」だと思いますが、「豊かな社会」という誰でもいえる漠然としたことはパーパスになりにくく、自社の製品やサービスが提供している価値の延長線上に、高次元の社会的存在意義を示すことが必要だと考えています。ここから具体的に、ライオンさんやLIFULLさんはどのようにパーパスを規定していったのか伺ってみたいと思います。

習慣を繰り返し創造し続けてきたライオンのパーパス

阿曾:弊社のコーポレートスローガンは「今日を愛する。LION」で、まさに一人ひとりが今日を愛することができるような社会をつくっていきたいという考えを示しています。そして、パーパスは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」です。

 事業としては大きくオーラルケア、ビューティケア、ファブリックケア、リビングケア、薬品の5事業、さらにはウェルネスダイレクトやペット事業なども展開し、ここから価値が創出されています。

 パーパスとは一般的に「自らの組織やプロダクトがなぜ存在しているのか、社会に存在意義を表現すること」だと思います。弊社ではこれまで様々な生活課題、その先にある社会課題の解決に向け、生活者と寄り添いながら解決してきました。生活習慣を繰り返し再設計することで暮らしに貢献してきたことを受け、2018年に「ReDesign」というパーパスを策定しました。一時的な解決ではなく、新しい発想をもって習慣を再設計するという意味を込めています。

 未来に向けたメッセージとも取れますが、弊社はこれまでも習慣を提案し続けており、生活者と共に習慣づくりを進めてきました。それによって社会に貢献してきた経緯があります。たとえば、O-157による集団食中毒が社会問題となった翌年には、キレイキレイ薬用ハンドソープを発売しています。手洗いによる清潔衛生習慣を普及啓発することにより、毎日の習慣をつくることで、人々の1日に、社会に、貢献してきました。

 パーパスを明瞭化する上で、こういった存在意義について経営層とも対話を重ねて、「私たちのHOW=毎日のより良い習慣をつくる」という点を踏まえながら、自分たちのパーパスを考えていきました。そのなかで「私たちのWHY=人々の毎日に貢献する」“今日”という提供価値に立ち返り、そして「今日を愛する。」という言葉にも接続していくようなライオン独自の存在意義が見えてきました。こうした点を踏まえて、2020年に「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」としてパーパスを明瞭化しました。

 パーパスを長期的な経営の中心に据えて、パーパスに基づく企業活動を推進することで一貫性を持った行動へと変わり、ライオンが目指している望ましい社会の姿が明確に伝わっていくのではないかと考えています。

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キーワードが多岐にわたっていたLIFULL

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/25 18:06 https://markezine.jp/article/detail/37335

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