オフラインデータ活用における4つの障壁
オフラインの購買が目的に含まれるプロモーションにおいてはオフラインデータの活用も重要ということがわかったが、実際にオフラインデータを活用する際には様々なハードルが発生する。小河氏によると、主な障壁は4つある。
オフラインデータ活用を阻む4つの壁
1、ガバナンス(個人情報の法令遵守、レピュテーションリスクなど)
2、データソースのボリューム
3、データソースとメディアを接続するパイプの太さ
4、データソースとメディアの接続技術と実現内容
ロイヤリティ マーケティングでは、それぞれについて次のように対応している。
1、ガバナンス
小河氏:メディア、法律、プラットフォーマーのルールは年々厳しさを増しており、これに対応していくためには、ユーザー、企業、社会の3つの観点が必要です。まずユーザー観点では、ポイントサービスを受けるために許容していただいたデータ活用の詳細をWebサイトでご紹介することで、その透明性を保っています。
企業観点では、データを授受するパートナー企業様のユーザーによるパーミッション(許諾)、法令の遵守、セキュリティやガバナンス、そして契約内容を念入りに事前確認するスキームを構築しています。
最後は社会の観点。弊社ではCookieやIDFA自体も、Pontaの会員契約で同意を得た個人情報として扱っており、個人情報保護法の改正も先取りしております。
2、データソースのボリューム
小河氏:広告と連携するためにはファクトデータのボリュームが非常に重要で、国内でも多くのケースでボリュームがネックになっています。弊社のサービスではその特性上、他業種からデータを取得しています。いつ、どの店舗で、何円分の購買をしたか、さらには一部の提携店舗様ではID-POSデータによって何を買ったかまで特定できるのです。また、メディアとの連携キーもすべてPonta IDに紐づく1つのIDで構成されている点も重要になります。
3、データソースとメディアを接続するパイプの太さ
小河氏:オフラインデータとメディアを突合する際、せっかくオフラインデータ量が多くても最終的にターゲティング広告の対象者が小さくなってしまう、というケースがよく見受けられます。弊社の場合、CookieやIDFAにほとんど依存せず、「Ponta ID」をキーとした各種の会員情報によって、各メディアとID突合を実施しています。
そのため、LINE4,000万、Facebook2,000万といった、かなりボリュームでデータを突合できているため、ターゲティング配信や購買分析を実施しても十分なデータ量を確保できているのです。
4、データソースとメディアの接続技術と実現内容
小河氏:特にメガプラットフォーマーでは、そのサービス内のインプレッションデータは外に出さないケースがほとんどです。そのため、いかにデータを突合し、何を実現できるのかが課題になります。
プラットフォーマーごとに実現内容や手段は様々ですが、多くのプラットフォーマーとターゲティング配信、および広告接触からの購買測定を実現できています。具体的には、プラットフォーマー内に分析専用環境を構築し、広告接触データと弊社の購買データを掛け合わせた分析を可能にしているのです。この分析専用環境は「データクリーンルーム」と呼ばれ、関係各社との調整を含め、時間をかけて開発してきました。
加えて、セキュリティやリーガルの問題をクリアしながら開発、運用をいかに軽くしてデータ連携をしていくかも大きなテーマです。生の個人情報ではなく、クラウドやトレジャーデータなどをハブとし、他社の環境と接続することでスピード感のある開発運用を実現しています。