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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2021 Autumn

企業規模より戦略が要 花王&銭湯ぐらし&いつも.と考える、ECビジネスの勝ち筋


 物販系のEC化率は2020年で約8%。多くの企業が参入中だが、まだ勝機はある。企業のECが競合他社に埋もれず、ロイヤルカスタマーを獲得するためにはどうすれば良いのだろうか? 9月8日開催のMarkeZine Day Autumn 2021には、ブランドごとにECチャネル展開に取り組む花王と、ECサイト「銭湯のあるくらし便」で成長を続ける銭湯ぐらし、D2C支援に定評のあるいつも.の3社が登壇。企業規模の違いを踏まえた「ECの立ち上げで重要なこと」「EC拡大をマルチチャネルで行う方法」などについて議論した。

D2Cの先端を走る多様な3社

望月:いつも.の取締役副社長、望月です。当社はECバリューチェーン全体を支援し、D2C事業の立ち上げ、コンサルティング、マーケティング、物流等を、ECプラットフォームや自社EC、海外も含めてサポートしています。

 本日はECの立ち上げ時や拡大時で重要なことを、中小企業やスタートアップと大手メーカーの、2つの異なる視点で紐解きたいと思います。

株式会社いつも ビジネス本部 取締役副社長 望月 智之氏

生井:花王の生井と申します。私は2021年に新設したDX戦略推進センターに在籍し、ECの全体戦略を担当しております。既存チャネルの中で特に活発なECを活用し、ビジネスを推進させる策を模索中です。

 たとえばヘアケア商品は約2,000億円の市場ですが、ECでは500億円弱。商品ごと、ブランドごとに顧客関係やリテンションをどう作っていくか、リアルとECを共存させる戦略を推進しています。

伊藤:銭湯ぐらしの伊藤です。私は新聞社のデジタル部門でサブスクリプションを、スタートアップ企業でマーケティングを経験して今に至ります。

 弊社の事業は2軸です。1つはコワーキングで、東京高円寺の銭湯「小杉湯」の隣にある、会員制ワークスペース「小杉湯となり」。もう1つは今日メインでお話しするD2C事業「銭湯のあるくらし便」です。夏はハッカ、冬はゆずなど季節に応じたお風呂のもとを、定期的に届けるサブスクリプションサービスを展開しています。

EC化でデジタルシェルフの価値が高まる

望月:では最初に、EC市場の動向と買い物の変化について議論できればと思います。

 ECの市場規模は2000年から右肩上がりで、現在約12兆円。コロナ禍の影響もありどのカテゴリーも約20~30%、売上額が伸びています。経産省による、物販系分野のBtoC-EC市場規模調査では、EC化率は全体で約8%、各商材では、家電が35%超、書籍が40%超と高くなっています。

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望月:最近ではスマートフォンから新しい情報を得て、商品に触れることが主流です。口コミやレビューの評価が良く、著名人がSNSで推奨したものが購入されやすい傾向にあります。それにより実店舗の商品陳列棚のように評価や売上の良い商品がトップなど目立つ場所に表示されます。

 またECでもインターネットを介してブランドと関わりを持ち、検討・購入をするデジタルシェルフの価値が高まってきました。

 ところでおふたりは、この1年、買い物行動の変化をどのように感じられていますか。

伊藤:私個人の買い物を振り返っても、旅行に行けない分、家でちょっとした贅沢をしようと、コーヒーのサブスクや食品の取り寄せをするようになりました。お客様からも「お家の中でよりリッチな入浴体験をしたい」という声が多く、体をケアすること以上にマンネリを打破する意味合いが、購入理由になると感じています。

生井:私達が取り扱う日用品では、大容量洗剤などがよりECで購入されています。お店に行っても必要なものだけを買う心理が働き、通常の消耗品はECで購入する傾向が顕著になりました。あとは家ごもりによるストレス解消のため、自分へのご褒美も含むプレゼント需要が増えたと思います。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/17 09:52 https://markezine.jp/article/detail/37462

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