ブランド毀損に繋がる4つのケース
OTTやCTVのように新たなデジタルチャネルが生まれたり、3rd Party cookieの廃止やプライバシーに対する社会的な意識の高まりによる変化が起きると、従来のマーケティング手法にとらわれない視点や考え方が必要になります。本連載では、The Trade Deskがアメリカの最新のマーケティング事情を通じて、これから先、日本のマーケターが進化するデジタルマーケティングにどのようにアプローチすればよいのか、その視点をお伝えします。第2回は、日本のマーケターの間でも意識が高まっている「ブランドセーフティ」がテーマです。
IASの調査レポート「The State of Brand Suitability」によると、ブランドの適合性(ブランドスータビリティ)において、自社が経験したことのあるネガティブな問題として「消費者の敵意」が第1位に。次いで、「収益の損失(44.1%)」「ブランド・エクイティの低下(42.4%)」「ネガティブな評判(20.3%)」が挙げられています。
では、実際、どのような時にブランド毀損に繋がるのでしょうか? 主に考えられるケースとして、以下の4つがあります。
1.著作権違反サイトへの広告配信
日本でかつて問題になった「漫画村」のように、明らかに著作権違反しているサイトにアドネットワークで広告配信されているケース。ブランドイメージに影響があるだけでなく、不正な手法で広告課金されるため、金銭的損失にも繋がる。
2.低品質なコンテンツへの広告配信
合法的なパブリッシャーや配信面であっても、低品質で俗悪なコンテンツの中に紛れ込んでブランド広告が配信されている場合は、ブランドイメージが傷つけられる可能性がある。
3.コンテクスチュアル(文脈)に合わないコンテンツへの広告配信
たとえば、飛行機事故の記事に航空会社の広告が配信されることはあまり好ましい状態ではない。コンテクスチュアルに合わないコンテンツへの広告配信にもリスクがある。
4.アドフラウド
アドフラウドとは、botなどで機械的にインプレッションやクリック数、動画再生数を増やす不正行為のこと。直接的にブランドが毀損されるわけではないが、実在する「人」が広告をきちんと見ていない可能性があるため、広告主やパブリッシャーの機会損失や金銭的損失に繋がる。
UGCがブランドセーフティに及ぼす影響
上記の4つのケースに加えて懸念されているのは、「UGC(User Generated Contents)がブランドセーフティに及ぼす影響」です。ソーシャルメディアを通じたマーケティングチャネルとしての存在感も高まっている反面、UGCがブランドセーフティに大きな影響を与えていることも注目すべきポイントのひとつでしょう。
消費者がUGCを視聴することができるプラットフォームであるFacebookやYouTubeは、ユーザーを惹きつけてトラフィックが生まれ、そこに広告在庫ができていくビジネスモデルです。しかし、場合によっては、著作権意識が低いユーザーが作るコンテンツや信ぴょう性の低いサイトをもとに展開される主張がシェアされることで、結果的にフェイクニュースや有害なニュースのトレンドができていくケースも度々発生しています。世の中が不安定になっている時こそ、こういったコンテンツが生まれることが多いため、マーケターにはデジタルマーケティングチャネルを利用する能力が試されます。
ウォールドガーデン以外のオープンインターネットやアプリのパブリッシャーには、FacebookやYouTubeだけではリーチできないユーザーが存在していることがNIELSENとの調査(※)でわかっています。また、OpenXの調査(「THE OPEN WEB VS. THE WALLED GARDENS」)によると、米国において1人のユーザーがインターネットに触れる時間のうち、34%をウォールドガーデンに、66%をオープンインターネットに費やしているというデータもあります。つまり、オープンインターネットへ配信できるプログラマティック広告を活用することでより多くのユーザーにリーチできる場合もあるのです。
(※)Nielsen Mobile NetView Custom Data Feed 2021年6月度データ 「TheTrade Deskネットワークと競合重複利用状況」調査結果より