※本記事は、2021年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』71号に掲載したものです。
「ウマ娘」ヒットの理由
「ウマ娘 プリティーダービー」(以下、ウマ娘)は、Cygamesによるスマートフォン向けゲームアプリで、実在の競走馬を擬人化した美少女キャラクター“ウマ娘”を育成し、レースでの勝利を目指すという内容の育成シミュレーションゲームである。2021年2月に配信を開始すると、そのキャラクター設定や無課金でも楽しめるゲーム性が人気を集め、配信開始6ヵ月強で1,000万ダウンロードを突破。App Annieが発表した国内における「2021年第一四半期ゲームアプリランキング」では、ダウンロード数1位を獲得するなど、今年大ヒットしたゲームアプリだ。
では、なぜ「ウマ娘」はこんなにも急成長を遂げることができたのか。今回の「データで読み解く」では、リサーチとデータ活用でマーケティング支援を行うマクロミルの「ブランドデータバンク」および「A-cube」のデータから、「ウマ娘」をプレイしている人にスポットを当て、そのユーザー特性からヒットの理由を探っていく。
なお、「ウマ娘」ユーザーについては、ブランドデータバンク第33期調査(2021年7月実施)の回答者の中から、アプリログデータを取得している「A-cube」パネルとの重複者を抽出し、2021年2〜8月の間に「ウマ娘」のアプリを起動した人(n=161)を分析対象とした。
記事の前半では「A-cube」のアプリログデータから「ウマ娘」の利用状況を分析。後半のプロファイル分析においては、ブランドデータバンクの全体(n=31,197)のスコアと比較し、「ウマ娘」ユーザーの傾向を明らかにしていく。
ゲームアプリ“起動率”のランク上位を維持
図表1は、A-cubeモニタ全体におけるゲームアプリの起動率上位のランキングである。
「ウマ娘」の配信開始日は2月24日だったため、2月のランキングでトップ10圏外だが、3月以降は常にトップ10にランクインしており、5〜6月には「LINE:ディズニーツムツム」「PokemonGO」「モンスターストライク」に次ぐ4位となっている。
では、「ウマ娘」ユーザーはどれくらいのプレイ頻度で遊んでいるのか。
図表2は、「ウマ娘」ユーザーにおける各月の「ウマ娘」の起動日数について、「High」「Middle」「Low」の3層に分類したデータである。
月により多少の変動はあるものの、「High」層(月21日以上)の割合は3割程度で、この層がいわゆる“ガチ勢”に相当すると考えられる。
アプリログデータからは、最後に「ウマ娘」ユーザーが併用しているゲームアプリの傾向を見ていく。
図表3は、「ウマ娘」ユーザーの併用ゲームアプリのランキングである。
「Fate/Grand Order」「PokemonGO」「モンスターストライク」などの一般でも人気のあるタイトルを除くと、「プリンセスコネクト!Re:Dive」「ブルーアーカイブ」「バンドリ!ガールズバンドパーティー」「プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク」などの、いわゆる“美少女ゲーム”のタイトルが目立つ。一方で、システム面が類似している「実況パワフルプロ野球(パワプロアプリ)」はランク外となっていることから、ゲーム性よりも「ウマ娘」のキャラクターの可愛さに惹かれて参入している“美少女ゲーム”プレイヤーが多いものと考えられる。