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MarkeZine Day 2021 Autumn

「リアル店舗のワクワクを手のひらの上でも届ける」東急ハンズのリアル×オンライン戦略


お問い合わせチャットボットでCVRが5倍以上に

 東急ハンズには、ハンズクラブの会員向け、EC関連、各店舗や企業に問い合わせる用の3種の問い合わせフォームがある。そして城野氏によれば、そのお問い合わせ体験も改善するため「これらのよくある質問をすべて横断的に取りまとめたチャットボットを用意している」という。

 導入直後から98%以上の返答率が得られており、そして、対応顧客数は前年比の4~7倍に増加。有人対応の前にチャットボットが解決してくれるようになったことで、有人対応の数は半減した。

 「返事を待つならわざわざ問い合わせないけれど、チャットで即時に結果が返るなら話しかけてみようという方が多い印象です」(城野氏)

 ここまで紹介した施策に加え、2020年4月~5月の緊急事態宣言下の影響もあり、ECの売上客数は前年をはるかに上回る数字になったという。城野氏は、前年比のグラフを用いて解説した。

 「ECの問い合わせフォームでの対応件数は3月から4月にかけて急上昇しました。でも、6月には激減します。それは5月に『EC系のよくある質問』を拡充したことで、チャットボットとのやりとりで解決するお客様が増えたからです」と城野氏は分析する。

 一方で、チャットボットと有人対応を合わせた顧客対応数は前年の数倍と激増していた

 「人の力ですべて対応した場合、問い合わせいただいてから回答までに何日もお時間いただいてしまったと思います」(城野氏)

 さらに、チャットボットは有人対応の業務削減効果だけでなく、チャットボット利用者のCVRがサイト全体の5倍以上になるなど、売上の改善にも大きく貢献した。

 「購入前の疑問を即時解決できることでその後の購入につながっています」(城野氏)

 費用対効果は十分出せており、元々あった「よくある質問」ページのQ&Aなど、既存のコンテンツをチャットボットに反映したことで導入期間も1~2ヵ月で済んだ。

店頭でも在宅でも、デジタルでお買い物を便利に

 東急ハンズはデジタルを活用し、店頭体験を便利にする施策や、家庭からも買い物を楽しんでもらう施策も実施している。

 1つ目は店内商品検索の「ドコアルノ」。専用端末は不要で、スマホから欲しい商品の場所を検索できるWebサービスだ。現在は一部店舗に導入され、対象店舗は順次拡大中である。

 「元々店頭では『目当ての商品がどこにあるか』の問い合わせが多く、さらにコロナ禍で『従業員に話しかけずに、最短で欲しいものを手に入れて買い物を済ませたい』というニーズも高まったため、サービスを実装しました」(城野氏)

 月に1店舗3,000~5,000件ほど検索されており、検索内容はGoogleアナリティクスのサイト内検索で確認できるため、顧客の商品ニーズも探れているという。

 2つ目は取り置きサービスの「HANDS KEEPER」だ。欲しい商品が各店舗に何個あるかがわかり、取り置きがボタン1つで行える。最寄りの店舗にない場合は他店から取り寄せることも可能だ。「コロナ禍で、素早く確実に買い物を済ませたいというニーズが高まり、取り置き注文は増加しています」と城野氏は語る。

 最後は「オンライン相談」。スマホやパソコンのビデオ通話で東急ハンズ各店のスタッフに相談ができるサービスだ。現在は新宿店、渋谷店、梅田店にて運用中。

 接客対応するのは店頭スタッフで、商品カテゴリと店舗を指定して事前予約し、都合のよい日時に自宅から画面越しに店内を見ながら相談できる。購入は、ネット注文、店舗取り置きまたは代引きにて配送依頼できる。

 「コロナで減ってしまった対面接客の機会が、一部こういった形に移行したと捉えて、今後も実施していきたいと考えています」と城野氏は講演を締めくくった。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/21 17:36 https://markezine.jp/article/detail/37840

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