2020年に理念体系を整理し、ビジョンを新制定
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに武内さんのご経歴を教えて下さい。
武内:私は1997年に新卒でサッポロビールに入社しました。最初に6年ほど営業に従事した後、メディア戦略を担う部門、ビール類のブランドマーケティングを行う部門で経験を積みました。それからベトナムの海外小会社への出向・現地駐在を経て、ブランドマーケティングの部門に戻り、現在はビールおよびRTDのブランドマーケティング、事業戦略、メディアバイイングを含むメディア戦略を統括しています。
MZ:サッポロビール一筋なんですね。サッポロビールは、2020年に理念体系を新たにし、新ビジョンを策定されました。まずはこの背景からうかがえますか?
武内:サッポロビールには、もともと経営理念とビジョン、行動規範からなる理念体系があります。この大筋は今も変えていません。経営理念については、骨子は変えず社員が自分ごと化しやすいように表現やワードをアップデートし、ビジョンについては、経営理念を達成するためにサッポロビールが近い将来あるべき姿として新たなものを制定しました。サッポロビールが存在する意義はなにか? お客様や社会にどのような貢献ができるのか? これを問う視点がマーケティングの原点であり、すべての事業活動が経営理念とビジョンに戻っていきます。
VUCA(※)という言葉もあるように、コロナ禍に限らず環境の変化が激しい時代です。そうした中でも一貫した事業活動やマーケティング戦略を行うために、社会やお客様にとってのサッポロビールの存在意義を改めて見つめ直し、理念体系を整理して、新たに動き出したのが2020年でした。
MZ:「誰かの、いちばん星であれ」というビジョンには、どういった思いが込められているのでしょうか?
武内:このビジョンで重要なのは「誰か」を意識することです。お客様からも社会からも本当に必要とされる存在にならなければ、今後のサッポロビールに存在価値や存在意義はありません。では、“誰に”必要とされるのか、私たちがコミュニケーションを取るべき大切な人は“誰”なのか? とりわけビールや缶チューハイに関しては、「すべての人がお客様」となりがちです。そうではなく、特定の誰かの心を動かすような強いアクションやコミュニケーションを意識して、日々の事業活動を行っていく。「誰かの、いちばん星であれ」というビジョンには、そんな決意も込められています。
※VUCA(ブーカ):Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語。社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなっている状況のことを指す。