群雄割拠のメタバースプレーヤー ゲーム・SNS企業がリード
メタバースの代表的なプレーヤーはどこなのでしょうか。現在はバックグラウンドが異なる様々なプレーヤーが、それぞれの入り口からメタバースの実現を目指している状況です。主な入り口として「ゲーム」「SNS」「XR」「クリプト」「インフラ」の5つがあります。
メタバースの代表例として挙げられることが多いフォートナイトの運営元・Epic GamesやRobloxは、ゲームを起点にメタバースの構築を目指しているプレーヤーです。ゲームの中でもマルチプレイのオンラインゲームは、メタバース構築に必要な3DCGアセットやアバターシステム、多人数接続の仕組みなどの要素をバランス良くカバーしているため、メタバースの実現に1番近い位置にいると言われています。
出典:Roblox
Metaを中心とするSNS企業もプレーヤーの1つです。Metaは次世代SNSとして「Horizon Worlds」を2021年12月に一般公開しました(執筆時点では北米のみで公開)。メタバースの構築にはバーチャル世界上で人々のコミュニケーションを活性化することが重要となるため、SNS企業がこれまで培ってきたユーザー活性化の仕組みやノウハウがアドバンテージになる可能性はあります。
またQuest2を開発したMetaは、XR(VRやAR・MRの総称)の分野でも1歩リードしています。ユーザーがメタバースへアクセスするにあたり、XRデバイスの装着は必須ではありません。しかし、XRデバイスはバーチャル世界に本当にいるかのような没入感を生み出すことができ、メタバースの魅力を最大限に引き出すことができるため、今後のさらなる普及が期待されているのです。
Web3.0の文脈でも注目を集めるクリプト(仮想通貨)の分野にもメタバースのプレーヤーはいます。メタバースの世界ではNFTによってバーチャル上の土地やアイテムの所有者を明確化するため、バーチャル上の経済圏の実現が期待されているのです。既にNIKEがバーチャルスニーカー企業のRTFKTを買収するなど、大手ブランド企業による取り組みも活発になってきています。
最後に紹介するのは、インフラ方面からメタバース参入を目指すプレーヤー達です。具体的には、ゲームエンジンを開発するなどUnityや、GPU(※)業界最大手の1つであるNVIDIAなどが有力企業として知られています。
※Graphics Processing Unitの略。画像・映像・音声などの生成を支えるハードウェア
ブランドの世界観を表現するのに最適なメタバース
世界的に注目を集めるメタバースですが、実はマーケティング文脈での活用が活発化していることをご存知でしょうか。メタバースがマーケティングと相性の良い理由は、主に3つあります。
1つ目の理由は、デジタル体験のリッチ化により高いブランディング効果が見込めることです。「モノ売り」から「コト売り」へとビジネスの在り方が変化する中で、ブランド体験の提供は重要度を増しています。
これまでのブランド体験は、主にショールームなどのリアルな場で提供されてきました。しかし、メタバース上では3DCGで空間や体験を構築できるため、自社の世界観をリッチかつユニークなデジタル体験としてユーザーに届けることが可能となります。海外ではアパレルブランドを中心に、メタバースを活用したブランド体験提供の事例が増えているのです。
2つ目の理由は、物理的な制約を受けない販促活動が行えるという点にあります。メタバース上では、空間の広さなど物理的な制約が基本的にはありません。この特性を活かし、自動車や不動産のショールームとしてメタバースを使う事例が増加。またBtoBマーケティングの領域でも、自社の工場やショールームをメタバース上に再現し、遠隔の工場見学を通じて顧客との関係強化を図るといった取り組みが出てきています。
3つ目の理由は、若い世代へのリーチが可能であることです。メタバース関連サービスのユーザーの大多数は10代~20代。実際、アメリカで人気のRobloxはユーザーの約半数が小中学生であると言われています。これらの理由から、SNSに次ぐ新たなマーケティングチャネルとしてメタバースが期待されているのです。
