消費経験の質と量がハンパないシニア層へのアプローチ
そもそもシニアは、これまで培い、蓄積してきた生活&消費経験の質や量がハンパない。こうした「経験」は、一種彼らの武器で、マーケターには手ごわい盾だ。当社調査でも、味覚や美的感覚などの「センス」に自信があるという割合が40代以下よりも50代以上のほうが高いという結果がある。正解・不正解関係なく、「自分に自信がある」と豪語する消費者を相手にする、という留意と工夫が大事である。
彼らの意向や志向をよく理解&共感し、否定するのではなく、新たな提案と魅力化を図る、ちょうどコンシェルジュのようなきめ細やかな対応を心がけると突破口が見えるのではないだろうか。

コンシェルジュで想起するが、中でも「旅行」はコロナ禍明けに起爆力を持つ可能性がある。事実、コロナ禍でもシニアの関心事の第1位は、政治・経済や健康を押さえて「国内旅行」だった。旅行は、「元気なうちにここに行きたい」というバックキャスト×コンプリート欲求の刺激、また豊富な旅経験に新たな刺激を与えればリピート需要も喚起できる、などなどの意味で本稿を収斂するのにふさわしい領域と言える。2022年は各地で祭礼などのイベント復活や延期開催が見込まれ、九州新幹線の西部への延伸など、受け皿にも期待できる。