環境変化を止められる人はいない
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行も3年目に突入。100年に1度あるかないかの非常事態が今なお続き、世界経済にとって深刻な打撃となっています。
当然ながら、ケンズカフェ東京にとっても他人ごとではなく、法人の接待時における手土産需要が減少するなど影響を受けました。しかし、その後は巣篭もり需要を追い風に順調に回復。このまま売上が落ちたらネット通販を再開するしかないと思っていましたが、再開することなく以前の売上規模まで復調しています。さらに昨年秋、新しいビジネスに参入しました。詳しくは後述しますが、今大きなチャレンジを始めたところです。
世界中が翻弄されている新型コロナウイルスですが、そもそも環境変化はいつの時代もありました。大地震や異常気象、世界経済や為替の影響、政情不安など、中身は様々ですが、およそ無風のままビジネスを続けられるなんてことは、いつの時代もありません。
ですからブランドを確立するには、感染症であろうがなんであろうが今後も起こる変化の波を乗り越えられる「強くしなやかなブランド」を作るという視点が大切です。
どんな変化も乗り越えるブランドを作るには?
では、それはどうしたら実現できるのか? 私はターゲットを明確にすることにその鍵があると思っています。
日頃から、「自社商品を通じて、どんなお客様にハッピーになってもらいたいのか」を具体的にイメージしておくのです。
私がこのことに気づけたのは、11年前の東日本大震災のときの経験からです。
当時ケンズカフェ東京は、人気に火が点き始めたガトーショコラをさらに多くの人に届けようと、ネット通販を開始。順調に拡大し、売上の7割を通販が占めていた頃でした。そんなときに起きた大震災。物流が止まり全国にガトーショコラを送れなくなったことがありました。
ところが、震災の翌日、関西方面のお客様から「まだ届かないけどどうしてくれるの!」とお怒りの電話が。日本中が混乱している中、このようなクレームが入ること自体が驚きでした。物流が止まって送れないことを説明したのですが、納得していただけない。このとき注文を受けていた他のお客様は、遅れても構いませんとおっしゃる方ばかりだったのですが、中にはこういう方もいらっしゃる。いつでもどこでも買い物ができるネット通販は素晴らしいシステムですが、この時、顔の見えない相手との商売の怖さを、身をもって感じました。
これが、私がネット通販をやめた大きな理由です。