インナーマーケティングで社内理解を形成
水野:ここまでのコミュニティ運営を高田さんはどのように評価されていますか?
高田:町長としては住民の皆様が活発に投稿してくださるので、熱量の高いコミュニティであると評価しています。サイトをリニューアルしてようやく1年が経過した段階なので、規模の面ではまだまだ伸びしろがあるという考えです。
社内の反応については、2019W杯の時期に企画したリアルイベントこそ「すごくいいね」と言ってもらえたものの、コミュニティの立ち上げ当初は理解形成に苦労しましたね。オフィスのエントランスで社員に丸の内15丁目ラガービールを配るなど、インナーマーケティングを行う度に社内からの参加者が増え、社内理解が進んでいきました。今では運営の意図通りにコミュニティが盛り上がっていることに対し、経営陣や社内から高い評価をもらっています。
水野:コミュニティについて、今後どのような目標をお持ですか?
高田:2023年に向けて、2019W杯の時のような盛り上がりを作りたいですね。丸の内というリアルの場とオンラインをハイブリッドして10万人の壮行パレードができれば、エリアのブランドとしても熱狂が体現できるのではと考えています。

高田:そのためには、丸の内15丁目のコアファン・にわかファンといった住民を増やしていくことも必要ですし、企画などの様々な接点で外からコミュニティを訪れる、いわば観光客のような存在も必要だと思っています。住民同士の交流を活性化させるのと並行して、観光客が楽しめるようなイベントやコンテンツも作っていきたいですね。
そして、丸の内15丁目に集まるすべての人たちがOneTeamになるような場づくりを大切にしながら、今後も住民と一緒になってまちづくりを進めていきたいです。
水野:まちづくりの新たな企画を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
対談後記
企業コミュニティの多くは消費財メーカーなどのBtoC企業によって、一般生活者に対する商品・サービスへの理解形成や、顧客の声の収集などを目的に運営されることが多いです。三菱地所がビジネスを展開するのはオフィスや商業施設。対象顧客は企業が中心となりつつも、場を訪れるすべての人々へのイメージアップが必要となります。
丸の内15丁目PROJECT.は、それらのターゲットに対してラグビーというテーマを用い「まちづくり」というコーポレートブランディングを実現しています。丸の内15丁目というバーチャルな場所を通じ、ファンとの共創でブランド価値を高めることで、三菱地所や丸の内という街の魅力も高めているのです。
一見遠回りをしているような手法ですが、コミュニティを訪れる人々は同社が使命に掲げる「まちづくりを通じた社会への貢献」をより強く実感するでしょう。今後も丸の内15丁目PROJECT.に集う人々がOneTeamとなり、街の発展につながることを期待したいと思います。