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人を育てる。組織を育てる。

健全なカルチャーなくしては何も始まらない。パナソニック山口氏が進めてきた戦略的な組織変革

 マーケティング業界でも深刻な問題となっている人材不足とどう向き合い、どこに解決の糸口を見つけるか? また、ビジネスをリードできる強いマーケティング組織をいかに作っていくか? 各社の取り組みを探る本連載、第6回はパナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社(以下、CNS社)のCMO山口有希子氏を取材した。マーケティング組織の形成とその機能強化、カルチャー改革で行った具体的な取り組みと、そのベースとなるマーケティング・マインドをうかがう。

※本記事は、2022年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』74号に掲載したものです。

ビジネスを変革するマーケティング組織を作るために

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務
チーフ・マーケティング・オフィサー 山口有希子氏

 シスコシステムズ、ヤフージャパンなど複数の日本企業・外資企業にて、25年以上にわたりマーケティング部門管理職に従事。BtoBマーケティング全般の経験を持つ。日本IBMでブランド部長およびデジタルコンテンツマーケティング&サービス部長を経て、2017年12月より現職。ダイバーシティ推進担当役員も兼任し、女性活躍、LGBTQなども強力に推進している。

――はじめに、山口さんがCMOとしてパナソニックBtoBソリューション事業のマーケティング組織強化に関わることになったきっかけを教えてください。

 私自身、約30年間マーケティングに携わってきましたが、インターネットが登場してHOWの幅が広がったことで、マーケティングの役割や需要が広がってきたと実感しています。正しいマーケティングは、企業の本質に基づいたWHYとWHAT、つまり企業戦略を考える経営に近くなければできないものです。ビジネストランスフォーメーションをドライブできるマーケティングを目指し、経営や人事などのコアな部署と連携するマーケティング組織を作りたいと考えていました。

 そんなときに、パナソニックと縁がありました。2017年4月に発足したCNS社は、モノづくり企業として現場に向き合ってきたパナソニックの知見やノウハウと、最新テクノロジーを活用した「現場プロセスイノベーション」を推進し、お客様のビジネスだけでなく、社会課題の解決に取り組む企業です。樋口(パナソニック代表取締役専務執行役員/CNS社社長兼CEOの樋口泰行氏)たち経営陣から、パナソニックのBtoB事業にマーケティング機能を確立させ、ビジネスモデルの変革に取り組むという気風を強く感じ、入社を決意しました。そこからの4年間は、マーケティングのビジョンとミッションを定義し、会社全体にインフルエンスを及ぼす存在となるべく、マーケティングの近代化に取り組んできました。

 組織変革は終わりがなく、時代の変化に合わせて中長期的に継続していくものですが、まずは今年4月に予定しているパナソニックの持株会社制に伴うCNS社の事業会社化(2022年4月にパナソニックコネクト株式会社へ変更)に向けて、進めているところです。

――「マーケティングの近代化」と言うと、具体的にはどのような取り組みを?

 マーケティングは、マーケティング部だけで行うものではありません。企業のWHYとWHATをきちんと実践するためには、すべての事業部が繋がり、全社で面となって市場やお客様と常に接点を持ち続ける、Always Onのコミュニケーションを実行していかなければなりません。そのための機能として、マーケティング組織の強化は不可欠です。

 私が掲げたミッションは、企業文化の創造/BtoBブランドの確立、新規市場の創出、そして既存マーケットでのビジネス拡大とリード獲得手法、それらを実践するオペレーションの近代化です。それを踏まえ、高度なアカウントベースドマーケティングができる組織を目指してきました。

 まず、2017年12月にパナソニックに入社してすぐにエンタープライズマーケティング本部を新設し、事業部ごとにあったマーケティング部や営業部を横串で繋ぐ、マトリクス組織を実現しました。そして、マーケティングのビジョンとミッションに合わせて組織の選択と集中を行い、人材を配置していきました。必要に応じて、組織の解体も行っています。さらに、海外の各拠点にもマーケティングリーダーを設置し、グローバルとの連携も強化しました。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/01 07:30 https://markezine.jp/article/detail/38381

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