専門担当を置くDeNAのデジタルマーケティング戦略
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、DeNAさんが高い成果を生み出したApple Search Ads(ASA)の運用について伺います。まず、DeNAのマーケティングサービス部がどのような業務に携わっているのか教えてください。
西山:私の所属しているマーケティング統括部マーケティングサービス部デジタルメディアプランニンググループは、DeNAが展開する様々な事業のデジタルマーケティングを推進する部門です。デジタル広告以外にも、YouTuberやインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングのほか、アプリストアの最適化、アプリ内広告など様々な施策を展開しています。
MZ:一般的には、事業ごとに広告担当者やデジタルマーケティング担当者が存在し、媒体を横断してPDCAを回していくことが多い印象です。DeNAさんはどのような体制で各事業のデジタルマーケティングを担当されているのでしょうか。
西山:そうですね。事業ごとにも担当者をつけ、デジタルマーケティング全体の戦略・施策設計をしています。
しかしパフォーマンスを上げていくためには、各媒体の特性をしっかり研究しなくてはなりません。メディアにはそれぞれ特性があり、戦略を立てるためにはその特性を理解する必要があります。DeNAでは広告別に担当者を分け、媒体社や代理店などパートナー企業と連携しつつ、各媒体のロジックの研究や新機能の活用などに積極的に取り組み、最先端・かつ最善の配信ができるよう専門性を担保しています。
西山:ASAも注力媒体の一つになっており、専任担当をつけています。
ASAと一口にいっても、アプリの業態によって細かな違いが出てきます。そうした違いを担当者に集約することで、ASAに関する攻略や知見を蓄積しています。
ASAに注力する理由ですが、アプリを見つけるための手段として多くの人が使っているのがストア検索だからです。実際Appleの公式見解でも「7割の方がストア検索利用してダウンロードしている」と述べているように、アプリを見つけるための手段として多くの人が使っています。ASAは唯一、そういったユーザーにアプローチができるメニューだからです。
アプリ中心の事業が多いDeNAで、アプリの認知・利用を促進するためにストアの広告を押さえるのは、当然のことと考えています。実際、アプリストア面のユーザーは、能動的にアプリを探しに来ているため、インストール後も継続して利用しやすいという結果も出ています。
配信拡大と運用負荷削減が課題に
MZ:ASA担当の安部さんに伺います。UNICORNさんに協力を仰いだきっかけを教えてください。
安部:ASAの運用について2点ほど課題がありました。
1つ目は、アプリと相性のいい潜在的興味関心ユーザー層の開拓を目指し、配信キーワードを拡大していくことです。そのためには「潜在層の検索キーワード」に「適切な入札額」で配信を行うことが必要になってきます。
「潜在層の検索キーワード」を発掘する方法として「検索マッチ」と「キーワード部分一致」という2つがあり、この機能のみだと、インストール数の大部分を占める検索クエリが見えにくくなってしまい、キーワードの発掘と個別の入札調整が難しくなってしまいます。
そのため「継続利用意向のあるユーザーが、どんなキーワードで検索しインストールするのか」という、心情を加味したキーワードへの「適切な入札」が難しかったのです。
2つ目は、効率化です。インハウスで運用していると、営業時間外や休日などに運用調整をできないケースも出てきてしまいます。運用を自動化することによって24時間体制で運用コントロールを行えれば、機会損失を防ぎ、かつ余計な支出もおさえてCPIの効率化を図れるのではないかと以前より考えていました。