Tinder=恋愛のイメージの脱却を目指す
──Tinderは2021年9月ごろに渋谷エリアで展開された屋外広告がとても話題となりました。まず、このプロモーションを行った背景を教えてください。
チョウ:実施の背景には、日本と欧米で異なるTinderのイメージを変えたいという思いがありました。Tinderは2022年でサービス開始から10周年を迎え、先んじて提供していた欧米ではすでに人と出会うインフラとして機能しています。出会いの目的も恋愛だけに限らず、様々な目的で知り合いを見つけるソーシャルディスカバリーと呼ばれる使い方に発展しています。
チョウ:一方日本では、恋活を中心とした使い方がまだ中心となっています。コロナ禍の影響で、ソーシャルディスカバリーな使い方が少しずつ増えているものの、まだ浸透していないのが現状です。
そこでTinderが目指す出会いの形・世界観を伝えていきたいと思い、ブランドアンバサダーに水原希子さんを起用したキャンペーンを2020年から展開してきました。2年目となる2021年は、水原希子さんがTinderでマッチした囲碁棋士と囲碁を打ったり、コスプレイヤーと一緒にゲームセンターでプリクラを撮ったりする様子を動画にして展開しました。
──恋愛以外の目的でも活用できることの提案が目的だったのですね。渋谷エリアで屋外広告を出稿したのはなぜでしょうか。
チョウ:渋谷エリアはTinderの認知が高いことがわかっていました。そのため、通常とは異なるコミュニケーションが必要だと思い、屋外広告の出稿を決めました。
既存の先入観を壊したのは、ストーリーと会話感のある広告
──では、今回のプロモーションで行った内容について教えてください。
チョウ:今回のプロモーションでは、水原希子さんを起用した動画広告の配信、そして渋谷をはじめとした複数エリアでの屋外広告の出稿を行いました。
動画広告に関しては、他のマッチングアプリとポジショニングの差別化を図ること、Tinderが持つ出会いの可能性を伝えることを目指しました。
それらの目的を果たすために重視したのが、ストーリーテリングです。水原希子さんは元々Tinderのユーザーで、海外に行った際は現地の人とマッチして、地元の人ならではのおすすめ情報などを教えてもらっていたそうです。彼女自身のライフスタイルが、ソーシャルディスカバリーを体現しているので、広告を見た方もストーリーに違和感を覚えることなく共感いただけると感じました。
──渋谷エリアの屋外広告は動画広告のクリエイティブとはまた異なるものでしたが、どのような意図があったのでしょうか。
チョウ:渋谷エリアでは「どこかにいい人いないかなーって、一生言ってな。」などかなり挑発的なキャッチコピーの広告を駅周辺のビジョンや看板を使って展開しました。ここには、Tinderに対する既存の先入観を壊したい狙いがありました。
良くも悪くも認知度が高いために、キレイごとを並べても渋谷を通る人たちには響かないと思っていました。そのため、会話を投げかけるようなキャッチコピーを展開しました。その結果、TikTokなど各種プラットフォームでUGCが発生するなど、大きな話題につながったので良かったです。
また、渋谷駅から少し離れたエリアや原宿周辺では、Tinderのことを知っている前提でデザインしたストリートポスターを大量に掲出しました。街に溶け込む色合いなどにしたことで、こちらも良い反響が得られました。