SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケターはアプリ広告とどう向き合うべきか

なぜ広告は嫌われたのか?ラストタッチアトリビューションモデルの“穴”を見抜き、広告評価の在り方を問う

ルールに基づく効果測定が抱える意外な“穴”とは

 広告を含む様々なマーケティング施策を正しく評価するために、現在デジタルマーケティングを実施するほとんどの企業はMMP(Mobile Measurement Partner)などの「アトリビューションソリューション」を導入しています。昨今は技術の急速な進化により「効果を追えないマーケティング施策はほとんど存在しない」と言っても良いほどにアトリビューションソリューションは浸透。マーケターはその分析結果を大きく信頼しています。

 アトリビューションソリューションが分析を行う方法論またはその基準を一般的に「アトリビューションモデル」と呼びますが、現在最も主流になっているモデルは「ラストタッチアトリビューションモデル」です。ラストタッチアトリビューションモデルとは、コンバージョンに至ったユーザーに“最後に広告を提示した”チャネルがアプリインストールや売上などの成果に貢献したと考える仕組みのことです。

 ラストタッチアトリビューションモデルは、ユーザーが自社のサービスを利用するまでの複雑な仕組みの中でも「どのマーケティング施策が結果に影響を与えたのか」を必ず導き出すことが可能です。明確なルールが存在するため適用しやすく、特にアプリマーケティングの世界においてはアトリビューション計測の主流モデルとして採用されています。しかしこのモデルには、広告に対する正しい評価が行えなくなる“穴”があるのです。

例外ルールによって変わるラストタッチ

 前述したように、ラストタッチアトリビューションモデルはルールに基づいて成果への貢献度を測る仕組みです。基本的にはコンバージョンの直前にユーザーが接した広告の貢献度を「100%」と判断するモデルなのですが、中には例外ルールもあり、この例外ルールが穴であると言えます。

 たとえばアプリ事業者Aが広告配信事業者Bを通じ、複数のチャネルに広告を出稿したとしましょう。SNSに配信されたAの動画広告を“視聴した”ユーザーが、その後自動車専門サイトに表示されたAの広告を“クリック”し、そのままアプリをインストールした場合、ラストタッチアトリビューションモデルのルールでは「自動車専門サイトの広告からコンバージョンが発生した」と判断できるはずです。

 しかしインターネット広告の世界には「間接反応(広告ビュー)より直接反応(広告クリック)の方が高い影響度を持つ」「フィンガープリント(ユーザーを特定する情報群)より広告IDの方が高精度」という考え方が定着しています。この考え方により、ラストタッチアトリビューションモデルでは例外的にルールが変わるのです。

 先ほどの例に戻りましょう。自動車専門サイト、いわゆるWebサイトではシステムの環境上ユーザー端末の広告IDが取得できないため、フィンガープリントによる識別を行います。一方のSNS広告は、アプリ内でユーザーの広告IDが取得可能です。多くのアトリビューションソリューションでは例外ルールに基づき後者の精度の方が高い、すなわち価値があると見なすため「SNS広告がコンバージョンを上げた」という判定になるのです。

次のページ
ラストタッチを取るためのトリック

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

山田 翔(ヤマダ ショウ)

アドウェイズ 代表取締役社長
UNICORN 代表取締役社長

2007年アドウェイズに入社後、スマートフォン向けの広告サービス「AppDriver」をはじめとする様々な新規事業を立ち上げ、2012年に新規事業開発室室長に就任。2013年にアドウェイズの子会社であるBulbit(現UNICORN)を設立...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/03/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38601

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング