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マーケターはアプリ広告とどう向き合うべきか

なぜ広告は嫌われたのか?ラストタッチアトリビューションモデルの“穴”を見抜き、広告評価の在り方を問う

ラストタッチを取るためのトリック

 確かに、見られただけの広告よりもクリックされた広告の方が成果に影響しやすいかもしれません。ただ、問題はクリックやビューの定義が広告配信事業者によって行われている点にあります。

広告配信事業者ごとにインプレッション、ビュー、完全視聴、クリックの定義とデータの扱い方が異なることを示す図
広告配信事業者ごとにインプレッション、ビュー、完全視聴、クリックの定義とデータの扱い方が異なることを示す図

 先ほどの例に当てはめると、広告配信事業者Bでは独自の定義により、ユーザーがSNS広告をクリックしなくとも動画広告が2秒再生されたら「ユーザーがクリックした」と見なし、アトリビューションソリューションCにクリックデータを送ることができるのです。この仕組みを利用して、自社が配信する広告のエンゲージメントを高めようとする広告配信事業者の動きも見られました

 ラストタッチを取るためのトリックは、インターネット上のあらゆるところに仕組まれています。同一の広告を特定の媒体で表示し続けることにより、その広告からコンバージョンが発生していない場合にも「インストール結果」としてレポートに表示される──つまり広告主の予算は使っているものの、実質的にその広告からユーザーは増えていないということになります。もちろんユーザーからしても、同一の広告が頻出するため「邪魔だ」と思われるでしょう。

効果の薄い広告投資を続けないために

 トラッキングやリターゲティングへの規制が進んだことで、今までのようにユーザーを識別し、横断的に広告を配信することはできなくなりつつあります。そのためラストタッチアトリビューションの仕組みも、今後は段階的に利用することができなくなるでしょう。そもそも方法論としてナンセンスです。ゆえに私たち広告事業者やマーケターは、正しい広告投資を行える新しい効果測定の仕組みについて考える必要があります。

 たとえば、数年前より注目を集めている測定方法に「インクリメンタリティ計測」と呼ばれるものがあります。これは統計学に基づき、広告の表示量に応じた獲得ボリュームや成果との相関関係を分析し、広告媒体の貢献度合いを判断する測定方法です。従来、テレビCMや屋外広告は、この方法と同じような仕組みを利用していました。過去に主流であった仕組みとはいえ、テクノロジーの力でこの仕組みを高精度に実践することができれば、今後のインターネット広告評価における大きなトレンドとなり得るでしょう。

 これまでと同じ広告配信の仕組みが利用できなくなりつつある中「どうしたら今までと同じように広告を配信することができるか」と考える広告事業者が多かったのかもしれません。しかしそれでは広告に対するユーザーの印象を悪化させ続けることとなってしまいます。この機会に広告事業者・マーケターらも考え方をアップデートし、新たな取り組みにいち早くシフトチェンジをしていくことが望まれるでしょう。

 新たな取り組みの例としては、SNSなどを利用したユーザーエンゲージメントの向上および集客の強化などが挙げられます。また、デジタルサイネージ化した交通看板(OOH)や、インターネットに接続されたコネクテッドテレビ(CTV)など、新たな媒体を活用するのも手です。現状維持ではなく、価値ある取り組みにシフトしていく方が意味のある動きだと言えるのではないでしょうか。

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この記事の著者

山田 翔(ヤマダ ショウ)

アドウェイズ 代表取締役社長
UNICORN 代表取締役社長

2007年アドウェイズに入社後、スマートフォン向けの広告サービス「AppDriver」をはじめとする様々な新規事業を立ち上げ、2012年に新規事業開発室室長に就任。2013年にアドウェイズの子会社であるBulbit(現UNICORN)を設立...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/03/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38601

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