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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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特集:あのマーケターに聞きたい、スキルアップとキャリアの話

業界の先輩8名に聞く、マーケターとしての仕事との向き合い方

Marketing Demo 代表取締役 石井賢介氏

プレイド Communication Director 川久保岳彦氏

 P&Gジャパンにて「ファブリーズ」「ジョイ」のブランドマネジメントに従事。副業で企業のマーケティング戦略立案を手伝う中で、P&Gでは当たり前の手法・知識が世の中に浸透しておらず、マーケティングが一部の大企業に独占されてブラックボックス化していることを痛感。マーケティング領域の社会的な課題を解決するべく、2020年に「Marketing Demo」を創業。

マーケターとしてのターニングポイントは?

 P&Gアジア本社にてアシスタントブランドマネージャーをしていた際、上司が産休に入り、チームメンバーへのエンゲージメントなども含めた本当の意味での「ブランドマネジメント」の役割を、当時チームで一番若かった自分が突如やらなければならなくなったときです。シンガポールの多国籍チームにコンセプトを伝え、説得し、同じ方向を向かせるのは簡単なことではありませんでしたが、なんとか走り切って、「ジョイ」のリブランディングを成功させました。5年間落ちていたジョイの業績を回復させた経験は、その後のすべての活動の礎になっています。

 個人的には、「マーケター」という職種はコモディティ化が進んでおり、マーケティングをできるだけの人間の賞味期限は切れてきていると感じます。結局、「事業家・商売人」として、自社およびクライアントの事業を伸ばすこと、そのために顧客理解と便益の設計が当然のようにできること、に意味があると思っています。

スキルアップや日々の情報収集はどうしていますか?

 自分が駆け出しの頃、学習の中心は「本」と「仕事でのOJT」でした。本は、手法論がまとまっているものではなく、コトラーの著作やMBAマーケティングなど体系的にまとまっているものを3冊も読みこめば十分だと思っています。そこからは、とにかく一次情報に触れることを重要視しており、今でも最も貴重な情報源は詳しい人との会話だと思っています。たとえば、私は今ある香水ブランドを作っていますが、調香師に話を聞く、元ルイヴィトンの香水販売員に話を聞く、など徹底的に詳しい人から一次情報を取っています。結局、世の中に落ちている情報では差別化が不可能なので、情報のアービトラージを取るには、現場に出るしかないと感じています。

 また、マーケティングという観点から考えると、消費者の「一歩先」を行く必要は必ずしもありません。今日現在で消費者が本質的に悩んでいたり、満足していないにもかかわらず、指摘されないと認識できないような問題を見つけることが、最も重要な仕事だと考えます。

株式会社YOU TRUST SNS事業部 事業責任者 兼 CMO 大前宏輔氏

株式会社YOU TRUST SNS事業部 事業責任者 兼 CMO 大前宏輔氏

 京都大学教育学部卒業後、2012年にサイバーエージェントに入社し、子会社立ち上げなど幅広く経験。2018年よりメルペイに入社し、マーケティングマネージャーを務める。2021年にYOUTRUST入社し、同年10月にCMO就任。2022年よりSNS事業の事業責任者を務める。

マーケターとしてのターニングポイントは?

 事業会社のインハウスマーケターとしてのキャリアを歩み始めた、メルペイ立ち上げ時の経験です。上司や同僚がとても優秀だったので、彼らから刺激を受けたことだけでも十分なターニングポイントなのですが、当時は「キャッシュレス推進」が社会の重要アジェンダとして注目され、競争環境も熾烈でした。自社のアセットをフル活用しながら、サプライズを起こし続けなければ生き残れない、というような環境に身を置けたことは幸運だったと思います。勝負時には「前例なきレベルで大胆に仕掛ける」「投資は数字で説明する」「マーケターは事業成長に責任を負う」という3つのコアスタンスを身につけることができました。

 今後のキャリアビジョンについて、まずは「YOU TRUSTをキャリアSNSとして必ず成長させる」ことに集中しています。これまでマーケティングの現場では目標から帰納的にストーリーを構築し実行していくことが多かったのですが、今は目の前のユーザーさんに向き合い、演繹的にプロダクトを構築していくおもしろさを感じています。

スキルアップや日々の情報収集はどうしていますか?

 意識的に自分に関係のない情報を取得すること、それらの情報を日々アウトプットする機会を意図的に作ることを心がけています。特にインプットでは、リアルなタッチポイントを意識しています。具体的には、街中や公共交通機関での人間観察。視線の先にある情報や持っている紙袋、手に取っている本などから、世の中感覚をアップデートするよう努力しています。あとは、とにかく雑誌をよく読みます。「dマガジン」などで、ティーンからシニア向けのものまで、表紙のタイトルやメイン特集だけでも読んでおくと、コスパのいいインプット習慣になるのでおすすめです。

 デジタル時代においてインパクトある言葉を生み出す重要性は日々上がっているように感じます。日常業務でもマーケターとして言葉を考えなければいけないシーンは多くあるので、そういった時に引き出しを多く持っておくと、思わぬ言葉の組み合わせを開発できたりします。アウトプット習慣は、副業などを通して日常業務とは違う筋力をできるだけ使うようにしています。ブレストに呼んでいただくだけのライトなものなど、リモートワークだからできる時間の使い方なども出てきており、これらが結果として、本業に活きるシーンも多いように思います。

良品計画 EC・デジタルサービス部 篠原佳名子氏

良品計画 EC・デジタルサービス部 篠原佳名子氏

 022年より良品計画EC・デジタルサービス部にて、“顧客視点のOMO”をテーマにサービスデザイン・コミュニケーション設計・UI/UX改善に取り組む。これまではグローバルSNS企業や大手飲食企業にて、国内外様々なマーケティングコミュニケーションの戦略立案と実行を推進。海外ブランドの日本展開PR・ブランディング・プロモーション・SNS企画運用などをリード。

マーケターとしてのビジョンは?

 これからマーケターは“総合プロデューサー”としての役割をさらに強く求められていくと感じています。お客様に価値提供をするための手段も、コミュニケーション偏重ではなくサービス・事業・ブランドのあり方など多岐に分かれています。その実行のために様々な部門やパートナーと仲間になり、強いビジョンと意志を持って成し遂げていく実行力がマーケターに求められていく。そこで私は、「ライフスタイル」「デジタル」「グローバル」の3つの柱を強みにキャリアを伸ばし、「何か困ったら篠原に相談しよう、きっとなんとかしてくれるだろう」と周りから思ってもらえるような最強プロデューサーを目指しています。

 現在、良品計画は“第二創業”を掲げ、感じ良い暮らしと社会の実現のために無印良品のあり方を様々な角度から見直しています。「この会社は本気で変わろうとしている」。そう私が感じたのは、前職でコロナ禍に最もビジネス打撃を受けた飲食業界にいたことで、企業改革や事業改革に真剣に取り組む企業・組織で自分の役割を拡張しながら貢献していきたいという気持ちが大きくなったからです。現在はOMOという壮大なテーマの中で、仮説構築・検証からサービス企画構想、実装までを任せられており、人の温かみも感じていただけるオンラインサービス作りに取り組んでいます。デジタルの力を使い、お客様それぞれの歩調で無印良品でのお買い物を楽しんでいただけるようになる。それをサービス・オペレーション・コミュニケーションでお届けできる状態を目指す。これが私のビジョンです。

スキルアップや日々の情報収集はどうしていますか?

 スキルアップのために、「関連する本を数冊読んで、全体像をつかむ」→「些細なことでもいいから手を動かして自分でやってみる」というステップを踏むようにしています。たとえば、今回の転職で私はEC/ITの領域に初めて踏み込みました。要件定義をする際にUIイメージをAdobeXDで作れるようになったほうが他部門やパートナーさんと良い議論になると思い、関連書籍を読んだ上で、AdobeXDを空いた時間で触り、プロトタイプを作る練習をしています。実際にやってみることで業務のスピード感や手触り感、そして他の人がどういう仕事をしているかの理解につながり、円滑な業務推進やコミュニケーションを生み出すと感じます。

 また、私は強いインサイトを見つけたときに勝率が高いタイプと自覚しており、普段から友人知人に自分の携わるサービスやブランドについて感想を聞いたり話し合ったりするようにしています。カジュアルな場だからこその本音の話もあり、意外な視点やインサイトに気づかせてもらうことが多いです。

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/28 07:30 https://markezine.jp/article/detail/38605

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