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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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特集:あのマーケターに聞きたい、スキルアップとキャリアの話

業界の先輩8名に聞く、マーケターとしての仕事との向き合い方

博報堂 マーケティングプラニングディレクター 増田昌弘氏

博報堂 マーケティングプラニングディレクター 増田昌弘氏

 大学卒業後、教育事業会社に入社。通信教育をはじめとする商品・サービス開発に加え、新規事業開発まで幅広く従事。2016年、博報堂入社。クライアントのブランド開発、マーケティング戦略立案、統合コミュニケーション開発など、様々な業務を経て、現在はサービス開発やWeb・アプリ制作を中心に、中長期的な生活者接点づくりを支援している。

マーケターとしてのターニングポイントは?

 自身のターニングポイントは2つあります。1つは、前職で新規事業開発を担当したことです(社会人6〜7年目)。どれだけ秀逸な企画やアイデアを作っても、それが利用されなければ意味がない。さらに言えば、売上を立てられなければ無駄になる。生活者発想を持ちつつも、ビジネスとしてマネタイズしていくことのできる事業やサービスを生み出し、運営し続けることへの貪欲さが増したきっかけです。

 また、もう1つは、現職で現部門に異動したときです(社会人10年目)。広告会社として、クライアントのDXを加速させる業務に多く関わるようになり、今の時代におけるマーケターの存在意義を考えるきっかけになりました。DXという切り口がフォーカスされることで、デジタルを通じた解決策ばかりに目は向きがちですが、生活者にとってデジタルは手段の1つでしかなく、リアルを含めたより広い視野での価値提供を目指す必要があります。そのためには、戦略を考えればいい、企画を考えればいい、データを見ればいいではなく、マーケターが全体を主導する主役となって、この時代にしか生み出すことのできない新たな提供価値や体験を求めていきたいと考えています。

スキルアップや日々の情報収集はどうしていますか?

 ビジネス関連のスキルアップに関して、特別なことはあまりしていません。個人的にマーケターとして最も重要だと考えているのは、「生活者の声」にどれほど多く接することができるかです。マーケティング戦略・戦術を考えていく際に、調査を行う機会も多いかと思います。ただ、その調査は大抵スポットで行うものであり、頻度高く聴取するものではありません。もちろん拠り所として活用することはできますが、より意識したいのは“常時接続”です。

 デジタル時代になり、生活者の動向は1分1秒ごとに変化していきます。それを瞬間的に切り取るのではなく、極めて連続的に触れることが重要だと思います。その際、自身が活用しているのはTwitterです。最も「素」や「本質」が出やすいメディアであり、そこにマーケティングとしてのヒントが多く隠されていると感じます。調査などでは、どうしてもオブラートに包んだ回答が出てきてしまう一方で、Twitter上にはむき出しの欲求や評価が浮いています。もちろん声の出やすい業界、出にくい業界はありますが、本音を探るにはうってつけです。時間がある限りTwitter上で生活者の声に触れる毎日です。

Peecan 代表取締役 鋤柄直哉氏

Peecan 代表取締役 鋤柄直哉氏

 新卒でボルテージに入社。アプリ領域におけるデジタルマーケティングを経験。2014年、メルカリにマーケティング担当の1人目として入社。100万から7,000万DLまでのサービスグロースを経験。マネージャーとしてオフラインマーケティング、デジタルマーケティング、CRM施策を統括。独立後2018年にPeecanを立ち上げ、事業会社のマーケティング活動を支援中。

マーケターとしてのターニングポイントは?

 自分のキャリアを振り返ったときに、1社目のボルテージが女性向けのゲーム会社であったことはマーケターとしての仕事の仕方を学ぶ意味で大きかったかなと感じています。男性である自分が女性のインサイトに向き合うために、周りの女性社員にインタビューやアンケートをしたり、女性向けの雑誌や漫画を読んだりして考えているうちに、自然とターゲットインサイトをどう見つけ、そこに対してメッセージをどう考えるのかが身についていったような気がします。

 また創業初期のスタートアップに、早いうちに飛び込んだのも大きなターニングポイントだったと思います。25歳のときにメルカリにマーケター一人目として入社し、自分の経験がないことでもどんどん挑戦させてもらえる環境に身を置けたというのは、何にも変えがたい経験でした。メルカリを退職後、外部から事業会社のマーケティングをサポートする会社を立ち上げ、3年ほど経ちました。社員を増やしたりもせず1人で仕事をしていることもあり、今後のビジョンとしてはまた事業会社の中でいろいろな人と関わりながらグロースをしっかりやり切るということに再度トライしたいという気持ちも芽生えてきています。

スキルアップや日々の情報収集はどうしていますか?

 自分の場合は独立後、いろいろな会社のマーケティングに携わらせてもらえており、それ自体がスキルアップや情報収集の意味でも、とても効率が良いなと思っています。独立後は同時に複数の会社のサポートをしており、仕事で関わる人の数も増えました。また関わる業種も様々なので、仕事をする中で各業界の最新の情報にキャッチアップすることができます。

 また様々なサービス・ビジネスモデルにおけるマーケティングに携わるということは、もちろんサービスによってターゲットが異なるので、戦略や具体的な施策を考える頻度・時間が大きく増えました。1つの会社に勤務している場合と比べると、こういった戦略立案・具体施策の検討などに費やす時間が長いので、日々マーケティングにおける修行を積み重ねているようなものかなとも思ったりもします。独立後しばらくはメルカリでの経験からBtoC向けサービスでの仕事依頼が多かったのですが、最近ではSaaSや消費財の仕事などもいただくようになり、自分にとって新しい業界での挑戦がさらなるスキルアップにつながっている感覚もあります。

プレイド Communication Director 川久保岳彦氏

プレイド Communication Director 川久保岳彦氏

 博報堂を経て、2015年よりプレイドに参画。現在はCommunication Directorとして、広告、動画、イベント、メディアを中心にマーケティングコミュニケーション領域に関わる。2021年には、日常の価値を問い直すビジネス・カルチャーマガジン『XD MAGAZINE』を創刊し、書店やオンラインで販売中。

マーケターとしてのターニングポイントは?

 プレイドに転職する際、広告宣伝を中心としたコミュニケーション(プロモーション)領域だけではなく、より広義のマーケティングに関わりたいと考えていました。プレイドでは初期のタイミングから参画したこともあり、コミュニケーション以外にも様々な分野に関わることができ、楽しさを感じると同時に、コミュニケーション領域において過去の自分が関わっていたプロジェクトほど質の高くないアウトプットで妥協していることにも気づきました。

 「スタートアップだから、まだそんなに資金の余裕がないから」という言い訳が頭に浮かんだものの、単純に質の高いアウトプットを出そうとする姿勢が欠如していると反省。それ以降は、まずはコミュニケーション領域におけるプロフェッショナルとなろうという目標を持ち、質へのこだわりをより強めました。そのため、自身のことは「マーケター」とは思っていないですが、将来的にはコミュニケーション領域に軸足を置きながら、より広くマーケティングやその他の分野にも関わることができるようになりたいと現在では考えています。

スキルアップや日々の情報収集はどうしていますか?

 ちゃんと「生活者でいる」こと、あるいは様々な「生活者の視点」をなるべく知ろうとすること、そして「なぜ」をよく考えることです。「生活者でいる」ことは意識しなくても実践している人は多いと思いますが、自分で施設やサービスを体験する、情報を受け取るといった生活者としての行為を大事にすることです。縦に深掘りすることも大事ですし、横に広げること、どちらも意識したいと考えています。

 しかし、自分で体験できるものはやはり限りがあるので、自分以外の「生活者の視点」も参考にしたいと考えています。インターネット上の声を見る、本を読む、外に出て人々の動きを見る、ときには会話を盗み聞く。それらを通じて、他者の視点ではこう考えるのかという参考にしています。ここ数年、メディアの編集・発信に関わる中で、世の中の事象や行為の「なぜ」をよくチームで話しています。自分の解釈も大事ですが、他者と会話し、新たな気づきを得るという行為はやはりとてもおもしろいですね。くだらない話からも、人の考えや生活の視点はよく出てくるものです。むしろ、くだらない会話にこそ人の本音が出ているかもしれないので、美味しいお酒を飲みながら、異質な人々と語り合う日が早く戻ってきてほしいなと思っています。

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Marketing Demo 代表取締役 石井賢介氏

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/28 07:30 https://markezine.jp/article/detail/38605

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