顧客コミュニティ3つのメリットとは?
顧客コミュニティとは、自然発生的にできるコミュニティではなく、企業組織が特定の目的をもって構築していくものだ。近年、カスタマーサクセスを実現させるうえで、注目を集めている。
コミューンは、これまで数多くの顧客コミュニティを支援し、分析。その結果、「3つのメリットにより、マーケティングにおいて全方位に効く施策になってくる」とコミューン駒谷氏は説明した。
具体的に、commmuneを利用している顧客コミュニティ“BASE FOOD Labo”の例を紹介。ベースフードのミッション「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」に沿って、社員とユーザーが“研究員”という位置づけで、相互にコミュニケーションを図っていると語る。
「コミュニティサイトでユーザーが行えるのは、様々な投稿、コメント、いいねなどのアクションです。ユーザーから投稿された声を起点に企業とユーザーがつながったり、別のユーザーを助けたりといったコミュニケーションが生まれていきます」(駒谷氏)
顧客コミュニティ内では、既存顧客の成功体験などが投稿され、他のユーザーに前向きな活動を促す効果がある。加えて投稿からは顧客の声を読み取れ、インサイトの発掘にも効果的だ。
ベースフードでは、BASE FOOD Laboで得られたインサイトを速やかに反映させることで、ユーザーが熱狂した。さらに、活発な投稿により特定レシピの検索上位にBASE FOOD Laboのレシピが表示されるようになったことに加え、投稿自体がUGCとして機能し、「プロモーションのコンテンツなどに用いられるため、新規ユーザーの獲得や、売上にも貢献する」と駒谷氏は語った。
顧客コミュニティの海外事例
また顧客コミュニティは「事業成長の確度に直結するポテンシャルがある」と駒谷氏は続け、海外の事例を紹介した。
最初に紹介したのは、米国発の語学学習サービスを提供するDuolingo(デュオリンゴ)の事例だ。同社の特徴は「コミュニティがグロースエンジンだ」と考えている点だ。一人のユーザーが認知を広めていく、メガホンのような形のコミュニティファネルで、マーケティングを考えている。
サービスの要である学習教材は、インキュベーションプログラムに登録したユーザーが作成しており、タスク選択や教材作成、テスト、リリースに至るまですべての工程をユーザーが実施。Duolingoは、作業インフラの整備やユーザー同士の協力・競争を生む企画を用意したり、貢献度の高いユーザーへ大学の推薦権などの特典を用意したりするなど、コミュニケーションが活発に行われるよう注力している。
また、スウェーデンの玩具メーカーであるLEGOでは顧客コミュニティを用いることで、310億円に上る赤字を解消。たった10年で業界世界一を誇るまでに成長を遂げた。
同社の顧客コミュニティである“LEGO IDEAS”には、100万人以上が参加。ユーザーオリジナルのアイデア投稿に1万のいいねがつくと商品化が検討される。商品化が実現されると、ユーザーには売り上げの1%が還元される仕組みとなっている。
「クリエイターを中心としたコミュニティとマーケティング4P(Product・Price・Place・Promotion)がうまく融合しているケースと言えるでしょう」(駒谷氏)
世界最速の一兆円企業と言われる中国のスマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)も、顧客コミュニティを有効活用している企業だ。Xiaomiは初期から、“フォーラム”というコミュニティを用いてユーザーと共創を行っている。
フォーラムは、広告展開を行っていないにも関わらず、ユーザーがたった1年で1,000人から50万人へ成長。現在のユーザーは6,000万人にまで膨らんでおり、顧客コミュニティの可能性を体現する企業と言えるだろう。