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ヒットの裏にマーケあり

ヒットはバグによる偶然の副産物。佐渡島さんが語る「本の領域を超えて読者の世界を変える」方法とは?

 数々のヒット作の裏側には、どのようなマーケティングが潜んでいるのか――。デジタルマーケティングのコンサルティングでこれまで1,500社を超える企業を支援してきたナイル。その代表で起業家の高橋飛翔が、各界の著名人と対談を行い、ヒットの裏に隠されたマーケティングを深掘りしていく本連載。ゲストはマンガ編集者でコルク代表取締役社長の佐渡島庸平さん。前半では、ヒット作を生み出す編集者の心得と、独自性の高いアイディアを生み出す秘策について伺いました。後半では、コルク立ち上げに至る思いや、デジタル領域における今後の見通しについてお聞きします。

ヒットはバグの繰り返しから生まれる

高橋飛翔(以下、高橋):講談社でたくさんのヒット作を世に送り出し、10年の節目にコルクを立ち上げて独立されていますが、どのような思いで起業されたのでしょうか。

佐渡島庸平さん(以下、佐渡島):ここまで、ヒット作は多動力とやり切り力に帰結するとのお話がありました(詳しく知りたい方は前編へ)が、本当にそうで。ヒットというのはたくさん行動する中で起こったバグで、安定したころに再生産する人が集まって、また新たなバグが起こっての繰り返しだと思うんですね。

 そのバグというのはこれまで誰も思い付かなかったような偶然の産物だから、たくさん動いてバグを起こしにいくというのが私のやり方だったのですが、組織にいるとどうしても分業になる。いろいろな方に手助けしてもらえるのは組織の良いところだけれど、時代の空気を読みながら即座に動かなければヒット作は作れないと思い、起業しました。

高橋:ヒットとバグの話、おもしろいですね。『鬼滅の刃』が『ONE PIECE』の単行本の1巻あたりの発行部数を超えましたが、これまでに『ONE PIECE』以降も人気作品は多く生産されていて、その様々なバグの重なりで再生産されたのが大ヒットとなった『鬼滅の刃』だと思うと、すごく納得がいきます。

 しかし、ヒットは偶然の産物とはいいながら、どうやってそれを生み出していくかを分析され、そして何をすればいいかをご存じだからこそ、たくさん動いてバグが起きやすいように独立までされた。もはや、そこから生まれるヒットは偶然ではなく必然とも言えるかもしれませんね(笑)。 

佐渡島:ただ、独立したはいいけど、出資を受けてとか、スタッフを抱えて事業計画を立てて、という起業ではなかったから、初めは雑務の連続で、「これは自分がやりたかったことなのか?」「こんな雑務ばかりしていてヒット作ができるのか?」とかなり悩みましたね。

 マネジメント経験もなく、「もっと暴れるぞ!」みたいな気持ちで飛び出したものだから、どうマネジメントすればいいのかでも苦しみました(笑)。

佐渡島庸平(さどしま・ようへい)

 1979年生まれ。東京大学文学部卒。大学卒業後に講談社へ入社し、週刊モーニング編集部で『ドラゴン桜』や『働きマン』、『宇宙兄弟』、『モダンタイムス』などの編集を担当し、次々とヒットさせた敏腕編集者。2021年に講談社を退社して株式会社コルクを設立。クリエイターエージェンシーとして世界観を変える物語を生み出し続けている。

物語の力で、一人一人の世界を変える

高橋:起業はもっと身軽に自由に動けるようになるイメージが大きいですが、自分が組織を動かしていかないといけないので、雑務が本当に多いんですよね。でも、会社員時代にはできなかったことができるようになることで、新たな発想も生まれやすくはなったんじゃないですか?

佐渡島:そうですね。しかもこれまで出版社は単行本を日本各地の書店に流通させるプラットフォームだったのに、インターネットの普及で電子書籍が仲間入りして、SNSでファンコミュニティも作れるようになったころだったので、どのポジションに立つかで活動もできることの発想もまったく違ってくるなと。

 どうやって売上を上げるかということも含めて、全部自由に考え直せるとなったことで、世の中に対する見方というか、メタ認知度は上がりましたね。

高橋:インターネット上で、自由な形で双方向に届けられるようになったことで、コンテンツの新しいディストリビューションの形を作りたいといった思いもあったのではないでしょうか?

佐渡島:それはビジネスとして作らないといけないと思いましたね。そこにプラスして、どうすれば話題になるか、どうやったら本が売れるのかというそれまでの思考だけでなく、ファンの方に喜んでもらう方法なんかも考えるようになっていったので、設立当初の「心に届ける」というコルクのミッションも、最終的には「物語の力で、一人一人の世界を変える」になりました。

 私たちの本が、読んだ方の心の中に宿る。そしてその本に関連する商品があれば、キャラクターが勇気を持った瞬間のことを思い出せるお守りみたいになると考えています。たとえば、テストを受けるときに身に付けることで、少し自信を持って臨めるようになるとか。そのような感じで物語の力で人々の世界を変えていきたいです。だから、メルマガだったりLINEだったり、グッズやイベントだったり、それらすべてのこともうちの事業なんだという思いでいます。

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38796

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